2025.07.26
ペーパーボーイ 真夏の引力
ニコール・キッドマン インタビュー
「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督最新作で、ザック・エフロン演じる主人公ジャックが恋心を抱く謎めいた年上の美女シャーロットを演じたニコール・キッドマン。これまでのイメージとはかけ離れた役に挑戦した彼女が、本作での役づくりや共演者について語る!
| ■作品紹介
新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開中 1969年、フロリダ。大学を中退し新聞配達をしながら日々を過ごすジャックは、新聞記者の兄ウォード(マシュー・マコノヒー)の助手として、ある殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を調査することになる。調査中、死刑囚の婚約者シャーロット(ニコール・キッドマン)と出会ったジャックは、謎めいた魅力を放つ彼女にひと目で恋をする。 |
監督からは、“もっと食べろ”“もっと大きいお尻になれ”と言われた
――本作でのシャーロットという役柄はあなたのイメージとはかけ離れていますが、ご自分でつくり込んだ役ですか?
ニコール・キッドマン(以下、キッドマン)「いいえ違うの。全て監督のリーからの要望よ。『プレシャス』は素晴らしい映画だと思ったし、そのリーからのオファーだったから。自分でも“かけ離れた”役になるだろうと思っていたけれど、でも、役者なら誰でもそんな役を演じたいものよ。新境地を開拓できるというのは、エキサイティングなことよ。同じような役を演じ続ける役者もいるだろうけど、私は繰り返し同じような役を演じられないわ。役者生活も長いし、新しい道を切り開く必要がある。でも自分の性格とは全く違う役を演じるのはとても楽しいことよ。自分とは正反対の人物を演じることで見えるものがあるし、自分の中の新たな一面を見つけられるわ。それが成長するということだと思うの。実際どんな人だってあらゆる要素をもっているはずだわ。それを表現する機会があるかないかよ。リーがその機会をくれて“君なら上手に演じられる”と言ってくれたの。リーも変わった人で荒々しかったけど、私はそこが気に入ったのよ。反体制的な作品に出演するのは役者にとって刺激的なことだしね」
――今回の役では外見も重要ですね。化粧が濃いので、洗い落とすのに時間がかかるのでは?
キッドマン「下手なメイクだからすぐに落とせるのよ。シャーロットは化粧が下手っていう設定なの。外見についていえばリーは体型も重視していたから“もっと食べろ”“もっと大きいお尻になれ”って言われたし、彼の要望に応えて動き方や言葉のアクセントも変えたわ。そして撮影期間中ずっとその状態でいたのよ。だから役から解放されたときはうれしかった。もちろん、シャーロットは好きよ。魅力的な人物だと思うし演じるのも楽しかったわ。でも、演じるには大変な役だから解放されたかったのも本当よ」
――シャーロットは、性的にも魅力的な女性ですね
キッドマン「ええそうよ。今回の役作りのために、実際に服役中の男性を愛している女性と会ったの。あれはいい経験になったけど、彼女たちの話を聞いたときは衝撃を受けたわ。精神的にきつく重い話だったから…だからリーに電話して私には演じられないと言ったの。そしたら彼は“君ならできるよ”って。彼とはそうして信頼関係を築いていったの」
――仕事をするなら、相手と信頼し合うことはとても大切なことです。過去にもそういう現場はありましたか?
キッドマン「何度かあったし、自分からそうなるように努力しているわ。どうなるかはリハーサルの段階でわかるの。これまでにも低予算の映画に出演してきたし、才能のある監督とも仕事をしてきた。だから変わった仕事のやり方には慣れているのよ。アレハンドロ・アメナーバルやガス・ヴァン・サントやラース・フォン・トリアー、バズ・ラーマンというような監督と信頼し合えたわ。『私が愛したヘミングウェイ』のフィリップ・カウフマンともいい関係を築けた。彼は私の知的な面を引き出してくれたの。リーが私から引き出したのは、主に肉体面ね」
ジョン(・キューザック)とは撮影が終わるまで話をしなかった
――共演者との間に生まれるハーモニーについてはどう思いますか?
特にザック・エフロンは新しい一面を見せてくれました。
キッドマン「彼はすばらしかったわ。難しい役どころだったけど、ザックは自分を解き放って演じていたし、彼とはいい関係を築けた。ジャックはシャーロットと一度寝ただけで夢中になって子犬みたいについてくるの。シャーロットのいいところは、彼を傷つけながらも気にかけているところよ。だからこそ彼女は彼を拒絶するの。一方、彼は彼女を愛しているという…。彼女はわかっているのよ、もし彼の愛を成就させたら、彼を破滅させてしまうとね。だから彼を拒絶するの。それが最も尊い愛の形だと思うわ」
――それから謎めいたマシューと常軌を逸したジョンの役。彼らとはどうでしたか?
キッドマン「ジョンはワイルドよ。ジョンとは撮影が終わるまで話をしなかったの。私たちの関係はジョンとニコールじゃなくて、ヒラリーとシャーロットだったの。それで撮影の最終日に彼が私のところに来て“やあジョンだよ”って。最初から話していたら刑務所のシーンなどはうまく演じられなかったかもしれない。あのシーンを撮影したときは、一日中、彼のことだけを見つめていたの。知り合っていたらあのシーンはできなかったわ」
――あのシーンは魅惑的ですが脚本に書かれていたのですか?
キッドマン「いいえ、演じていてああなったのよ。脚本ではもっとライトなものだったけど、リハーサルの段階でああなったの」
――強烈で記憶に残るシーンです。ところで、カンヌ映画祭には何度も参加していると思いますが、そのたびに印象が違いますか?
キッドマン「この映画で初めて夫といっしょに行けたから、うれしかったわ。夫は南フランスが初めてだったから、天候にも恵まれてよかった。“いい思い出になるわね”って何度も言い合ったの」
| <プロフィール> ニコール・キッドマン 1967年、ハワイ州ホノルルで生まれ、幼い頃に父親の母国オーストラリアに移住。『デッド・カーム 戦慄の航海』(’88)での演技がトム・クルーズの目に留まり、彼と共演した『デイズ・オブ・サンダー』(’90)ハリウッド進出を果たす。『遥かなる大地へ』(’92)、『ピースメーカー』(’97)、『アイズ ワイド シャット』(’99)などでスター女優としての地位を確立し、『ムーラン・ルージュ』(’01)でアカデミー賞主演女優賞ノミネート、『めぐりあう時間たち』(’02)で同主演女優賞受賞。その他の出演作は、『アザーズ』(’01)、『コールド マウンテン』(’03)、『イノセント・ガーデン』(’13)など。 |
©Kazuko Wakayama
© 2012 PAPERBOY PRODUCTIONS,INC.










