インタビュー

2025.12.24

  • オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
    ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルストン&ジム・ジャームッシュ記者会見

 

2013年5月25日にカンヌ映画祭で行われた、ジム・ジャームッシュ監督のバンパイア映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」の記者会見に参加した主演のふたりと監督。そこでのやり取りをすべてお届けします。

 

■作品紹介

「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」

12月20日(金)公開
配給/ロングライド
監督/ジム・ジャームッシュ
出演/トム・ヒドルストン ティルダ・スウィントン ミア・ワシコウスカ ジョン・ハート

 

バンパイアであるアダム(トム・ヒドルストン)は、ミュージシャンとして人間と共存していた。何世紀もの間恋人として愛し合ってきたイヴ(ティルダ・スウィントン)がデトロイトの彼の元へやってくるが、そこへ彼女の妹、エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現れ、ふたりの関係に変化が生じていく。

 

――(スウィントンに)私はデビッド・ボウイがいつもバンパイアだと考えてますが(笑)、最近あなたはボウイと素晴らしいビデオを制作されています。この映画なのかあのビデオかどちらが先だったのか、それとも片一方の作品が別の形になったのか、あなた特有の視点をお聞かせ願いたいのと、美や神秘性の意味、あなたのバンパイアとの関係は何なのでしょうか。

 

ティルダ・スウィントン(以下スウィントン)「時には、いつ物事が起きるのかを知るのは難しいように感じます、何が何より先にできたのかなど。時には全てのことが同時に起きると感じることもあるし。本当にめまぐるしい数年ではあったのですが、去年私たちはこの映画を作り、その前にボウイと私、フローリア・シジスモンディ監督はコラボレーションをしました。でもなぜだか、ボウイのビデオは10年も前に作ったような感覚でした。なぜでしょうね…。バンパイア。なぜ我々は彼らに魅了されるのでしょう。彼らは長い、長い、おそらくは決して終わることのない生に生きています。そして私たちは死の必然性を考えるのをとても恐れ、それが我々を不死の考えに引きずりこむわけです。彼らの生き方にはどこか、よどみの中、物事に執着することなく、あたかも鳥のように人生を生きているようなところがあります。私がこの映画の中で大好きなもののひとつは“目に見えない生涯”という発想です。目に見えない作品、引き取り手のない作品。作品は作るけれど、それが外の世の中に出てほしくはないという感情があり、それを天空に放り出してしまう。この全体の不可視、今でも存在してはいるが不可視、というアイデアは、大変美しいと思います。そしてあなたがおっしゃったように、この映画はジム(・ジャームッシュ)にとって、いつやって来てもおかしくない映画でした。ジムが『バンパイア映画を作ろう』と言ったとき、私はけっして驚きはしませんでした。『あなたはバンパイア映画をもう何年も作ってるわね』と言いたいような気持ちでしたよ(笑)。そのような不可視の、不死身の世界は、とても自然な段階のように感じたのです」

 

――トム、このバンパイアの神秘性に対するあなたのアプローチは何だったんでしょう。またあなたがオファーを受けた際、その役についてのあなたの解釈は何だったのですか。

 

トム・ヒドルストン(以下ヒドルストン)「うーん…」

 

――順番通りに答えなくてもいいんですよ(笑)。

 

ヒドルストン「アダム役、そしてストーリーは、僕にとって非常に魅力的なものでした。というのも、それは僕がこれまで探求したことのない、ワクワクするような好奇心の延長線のようなものだったからです。僕はたくさんの兵士やスーパー・ヒーローを演じてきましたから(笑)。そして僕は、ジムとティルダの大ファンでもありましたから。アダムはロマンティシズム、メランコリーを何らかの形で具現化している。しかしそれでも彼は、自身の愛する物事への好奇心によって突き動かされている。そういう役柄を演じるという発想は魅力的でした。そして僕はアダムがふたつの別のこと、対になった、つまりは“音楽”と“科学”に魅了されている人物のように思います。彼は振動する粒子の中心にいます。それは弦楽器かもしれないし星かもしれない。そして彼はそのことに本当に情熱を傾けている。彼は大変素晴らしいミュージシャンであり、エンジニアであるけれど、ある意味で、彼は自分をそのように見ることができません。イヴはずっと彼より大きく彼女は彼のもろさを包み込むことができます。それはとても美しいストーリーです。お互い愛し合い、認め合ったふたりの人間の間で、彼らはたまたまバンパイアだったのです。永遠の命という文脈の中で愛を探求するというアイデア、つまり、もし不死身を課されていたら? それは神の恵みか、それとも呪いか? そして互いへの責任にどう影響を与えるのか? ということだと思います」

 

――ワオ(笑)。

 

ヒドルストン「(笑)」

 

――ティルダとトムへ。私はこのバンパイアたちがとても気に入りました。これまで見たバンパイア映画にはない何かがあります。そしてバンパイアは通常、夜に獲物を狩りにいかねばならないものですが、このバンパイアの特徴を示す演技にどうやって取り組まれたのかお伺いしたく。そしてこの恋物語は非常に美しく、また私がこのバンパイアたちを称える理由のひとつに、通常世間に対して疎いはずの彼らが自分の身の回りのことに非常に精通していること。そして、ギターの内部構造に気がついたとき強く興味を抱きますよね。これまでのバンパイア映画には見られなかったたくさんのことが本作にはあるわけですが、それで私も大変細かい質問を抱いたわけです。なぜ、彼らはいつも口元を隠さねばならないのでしょう。というのも彼らの口元には何も、彼らがバンパイアだと露呈させるものがあるように見えませんでした。そしてまた手や手袋はどういう意味があるのでしょう。

 

ヒドルストン「僕が初めてジムと会ったとき、彼が映画のストーリーを説明してくれたんです。そこには2匹の非常に洗練された生物がいるように思いました。おそらく彼らが通りの向こう側を歩いていたら、目立っていることでしょう。でも彼らが目立っているのは、美しいという意味だけでなくワイルドで落ち着いているためです」

 

スウィントン「通りにもよるけど (笑)」

 

ヒドルストン「ええ、デトロイトかタンジールかにもよりますね。でも僕は長い間関わっているんだからわかってるはずなんですが…、興味深いですね。ティルダはどう思う?」

 

スウィントン「そうね…。彼らは人間ではありません、動物です。私たちは彼らが狼であることについてたくさん話しました。映画の中には心臓の音が使われており、それは狼の鼓動なんです。これは美しく、ぜいたくな描写のアプローチです。というのも私たちは火星人の視点から見せられるわけですから。私たちがこの作品の中で作りたかったものは、新しい生物です。私たちは、長い年月にわたる愛情を描く必要がありました。彼らは実際に、“これは500年間はし続けている会話の氷山の一角”とお互いに言いすらします。こんな発想をするのは非常に興味深いものでした。ふたりが長い間共にいるとき、実に頻繁にそこには危機が存在します。それでも、彼らはお互いを説明し合わなければならないのだというような、ささやかな慣習的形式をもって話します。私たちはひと組の男女を、実際に共にいようと努力するつがいを描きたかったのです。このような複雑に入り組んだ構造は、興味深いものです」

 

ヒドルストン「うん。そして彼らが口元を隠すのは、とても強烈な歯をもっているからですね、たぶん」

 

――手袋は?

 

スウィントン「手袋については先ほど申し上げましたが、(バンパイアとしての)私たちが固有の表現を創り上げられるように、火星人の視点を用いているのです。私たち特有の慣習、バンパイアの掟です。そして手に関しても、私たちにはエチケットがあります。お呼ばれした際には手を覆い、我々は他のバンパイアに招待されなければならないのですが、彼らが私たちの手袋を外す。これはただ…別の惑星だからです」

 

ジム・ジャームッシュ「バンパイアの掟に関する恣意的な神話に関して。ニンニクとか銀、もしくは銀の鏡だとか十字架だとかいった全部に関してですが、バンパイアの映画を研究してみると、1950年代のメキシコ映画、『El Vampiro』まで牙というものは出てきません。でもそれは正しくないな、『ノスフェラトゥ』や『Vampiro』、ユニバーサル映画の『魔人ドラキュラ』のベラ・ルゴシがある…。でもおわかりのように、これらのことは変化します。なので僕らも、独自のバンパイアを創りたかったのです。ですから手袋なんていうものがあるわけです。そして僕は、ロック・クラブでアントン・イエルチンがこう言うシーンが大好きなんです。彼は『ワオ、あんたらカッコいい手袋持ってるな、どこで手に入れたんだい?』そして答えはまったく返ってきません。彼は何にも答えてもらえない…。彼らは単純に、カッコよく見えるんです」

 

スウィントン「先ほど『彼らが目立つのはどの通りかによる』と言ったのは、冗談じゃないんです。私は彼らが居心地よく感じるだろう通りをたくさん知ってます。それにある人々にはこれはバンパイア映画ですが、ある人々にはおとぎ話であり、ある人々にはドキュメンタリーなんですから(笑)」

 

©2013 Wrongway Inc., Recorded Picture Company Ltd., Pandora Film, Le Pacte&Faliro House Productions Ltd. All Rights



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