2026.02.27
ラヴレース
アマンダ・セイフライド インタビュー
「レ・ミゼラブル」のコゼット役など、清純派のイメージが強いアマンダ・セイフライドが、「ディープ・スロート」で一世を風靡した伝説のポルノ女優リンダ・ラヴレースを演じた「ラヴレース」が間もなく公開。ここでは、ヌードも辞さない渾身の熱演で新境地に挑んだ彼女のインタビューをお届けする。
| ■作品紹介
「ラヴレース」 3月1日(土)公開
厳格なカトリックの家庭で育った21歳のリンダは、地元のバーを経営するチャックと出会い、彼の優しさにひかれて結婚。彼女はチャックにセックスの“秘技”を仕込まれ、やがてポルノ映画に出演することに。そしてデビュー作「ディープ・スロート」は全米で大ヒット。リンダは一躍全米のセックス・シンボルとして大スターになるが、華やかな栄光の影には知られざる苦難に満ちた日々があった。 |
――リンダ・ラブレース役を引き受けたときのことを教えてください。
アマンダ・セイフライド(以下セイフライド)「監督のロブ&ジェフリーとの長い会食後に、私もこの映画に参加することに決めたの。彼らがもっていた大きな資料集は、リンダに関する莫大なリサーチとたくさんの写真であふれていた。彼女の視点から物語を語りたいという彼らの完璧なビジョンを聞いて、とても気に入ったし、私自身も彼女の現実についてすぐに理解することができたの」
――あなたは1985年生まれですが、今回のプロジェクトの前にはリンダ・ラヴレースや映画「ディープ・スロート」のことを知っていましたか。
セイフライド「いいえ、この映画のために『インサイド・ディープ・スロート』を見るまでは、映画のこともリンダ自身のことも何も知らなかったわ。だから両親にも当時の反響を聞いたりして(笑)。監督のロブとジェフリーが彼らの集めた膨大な写真やフッテージ、本などの資料を私に見せてくれたし、私自身も彼女が出た映画もほとんど全部見て役づくりをしていったの」
――あなたはなぜこの役にひかれたのでしょうか?
セイフライド「私はチャレンジングな役が好きなの。特に実在の人物を演じる場合は責任を感じるから怖くもある。だから大きな挑戦だけど、エキサイティングでもあるの。と同時に、彼女自身にアクセスする方法はたくさんあったわ。彼女はポルノ業界のスターだっただけに資料もたくさん残っているから、そういう点でキャラクターづくりはあまり難しくないと感じたし、それにこの映画のスタッフは素晴らしい人ばかりだったから、そんなに心配はしていなかったの。共演者もみんな優しくて、シャロン・ストーンは撮影の当初からとても励ましてくれたわ」
――この役は女優にとって引き受けるのに勇気がいる役だったと思います。不安はありませんでしたか?
セイフライド「実在した人物を演じるときにいつも不安はつきものよ。でもその反面、彼女の映像や自叙伝など、彼女のことを知る手掛かりはたくさんあったの。反ポルノ活動家だった彼女は、ポルノに反対するためたくさんの取材も受けていたし。これらの手掛かりがあったから、ある意味でとても心強かった。もしかするとすでにこの世にいない人を演じる方が気が楽なのかもしれないわね。彼らの反応を心配する必要がないから…。でもこの映画は彼女の視点から描かれているので、私は彼女を正しく理解したかったの。彼女は驚くべき人生を生きたのだから」
――あなたが感じたリンダ・ラヴレースについての印象を教えてください。
セイフライド「リンダは信じられないほど寛容で、人の意見に対する理解力があり、ある意味とてもストイックだったと思う。信じられないほどにね。物を投げつけられたり、裏切られたり、ののしられたり、一挙一動について質問されたり、それはとても腹立たしいことなのに、彼女はそのような人にも優しく、愛情をもって接したの。さらに驚くことに、彼女はただ友達や子供、幸せな結婚生活が欲しかったの。それだけを望んでいたのね」
――役づくりの上でリンダ自身からどんなインスピレーションを得ましたか?
セイフライド「まさに彼女がもっているサバイバルの能力に感化されたわ。すごく悲劇的な人生を体験したにもかかわらず、彼女はそこから抜け出して最後には自分の家族をもつことができた。彼女が経験してきたことはとても困難なことだけれど、それを語ることを恐れず、他の女性たちとシェアすることを恐れなかった。だって女性なら誰でもポルノ業界で搾取されることを望みはしないでしょう? そういう彼女の勇気や行動力にはとても触発されたわ。決して楽な人生ではなかったけれど、彼女は他の女性たちのことも理解し、世界に居場所を見つけることができた。ポルノ産業で強要され、利用された後にも関わらず…。それは誰にでもできることじゃないわ。それに思春期の頃、彼女はとても純粋だったけれど、両親からはあまり顧みられなかったから、そういう生い立ちが彼女の性格に影響を与えたのだと思う」
――肉体的な面でもリンダ自身を意識して役づくりをしたのでしょうか。
セイフライド「ええ、リンダの物腰や声を真似て役づくりをしたつもりよ。とても興味深かったわ。でも彼女は背が高くて、私がうらやむような素晴らしいバストをもっている(笑)。そういう肉体的な存在感を出すのは難しかったけれど」
――リンダを演じるにあたって最も気をつけたことは何ですか?
セイフライド「本質をとらえること、それが最も重要なことだった。本質が欠けていれば、何もないのと同然。髪や目、口紅の色が正しくて、そばかすがあっても、彼女自身になりきらなければ何の役にも立たないもの。それにこの映画は、彼女の視点から語られるので、彼女が経験したこと全てを確認する必要があったの。そして彼女を正しく評価し、彼女に喜んでもらいたかったの。彼女自身はもういないけれど、彼女の家族の協力はとても重要だったし、それが得られたということは、かけがえのないことだったわ。核心を伝えるためにはドラマ性が必要だけど、この映画は決して架空の物語じゃない。実在した人物が実際に経験した物語なのよ」
――撮影中はどのような感じでしたか?
セイフライド「これほど撮影が楽しかったことはないの。映画を撮っている数カ月の間、’70年代に身を置いていたから」
――監督のロブとジェフリーは、これまでアカデミー賞のドキュメンタリー部門で受賞したことがありますが、一緒に仕事をしてどんな印象をもちましたか。
セイフライド「彼らと初めて会って話をした段階で、すでに完璧なビジョンをもった監督たちで、ものすごく綿密な準備をしていると感じたからこそ彼らを信頼することができたの。彼らはリンダの半生をスキャンダラスに描くのではなく、サバイバル・ストーリーとして見ていたの。彼女が経験したことをジャッジするのではなく、全て肯定しながら彼女の視点から描こうとしていたの。それは私にとってもとても重要なことだった。実際の撮影では、今回は二人の共同監督で撮影の時はロバートがカメラの後ろにいて、ジェフリーがモニターの前にいる、あるいはその逆でも関係なかったの。結果は同じ。二人とも素晴らしい人でそれぞれ個性があるけど、監督する時はどちらか一方に質問しても、満足いく答えが返ってきて、二人の意見が違うと感じたことはなかったわ。二人は完全にシンクロしていたの」
――暴力的な夫チャックを演じたピーター・サースガードはどうでしたか?
セイフライド「ピーターがすごいのは、カリスマ的な魅力をもっている男から、一瞬にしてひどく暴力的な男に豹変してしまえることね。チャックという男は、普通の人には理解できないような多重人格的な性格の持ち主だった。ピーターは、そんな難しい役を完璧にこなしていたわ」
――この映画は’70年代のきらびやかな衣装や雰囲気もとても印象的ですが、それらは役づくりの手助けになりましたか?
セイフライド「ええ、とても。コスチュームって本当に大切だし、まったく別人になった気分でとても楽しかったわ(笑)。たとえば同じ洋服を着ていなかったら、同じようにダンスはできないと思うの。コスチュームや外観はそれぐらい特別な影響を与えられるものなの。俳優にとっては役に入り込む大切な要素よ」
――リンダは若い頃とても純粋だったとおっしゃいましたが、そんな彼女がなぜポルノ業界に入りあれほど大胆な行動をとったのだと思いますか?
セイフライド「そうですね…彼女は純粋だったと思うけれど、カマトトだったわけではないの。この映画のいくつかのシーンでも、リンダが厳格な家庭に育ち世間知らずでとても純真で、人から認められたがっていたということが表現されていると思うわ。恋人に認められたいと思ううちにどんどん大胆になっていったんじゃないかしら。いったい彼女がどのくらいのことを楽しんでいたのか、私にはわからない。当時人々とどんな関係にあったのかも。でも彼女が実際に話してくれたことをもとに私の想像でつくり上げていったの。私はリンダをまったくナイーブなだけの存在にはしたくなかった。それでは退屈なだけだと思うから…。彼女は当初、自分で決断してやったこともあるはず。だから私は彼女を白黒どちらかに偏った人にはしたくなかった。グレーの部分があることは大切だから」
――この映画にはフェミニスト的な側面もあると思いますが、その点ついてはどう思いますか?
セイフライド「実際の彼女の人生においてそれはとても重要な要素だったと思う。私たちはもっとそういうシーンを撮影していたけれど、ずいぶんカットされた部分もある。たとえばリンダとチャックとの関係の最後の方などは長くなりすぎるのを避けてカットされたの。彼女の人生にはたくさんの側面があって、全てを語り尽くすことは不可能。でも映画の後半にかけて、彼女が徐々にフェミニストになっていく様子を描くのは、とても大切なことだったと思うわ。彼女の人生には別の側面があったことを示唆するためにも、あのような終わり方が必要だったの」
――最後にこの映画の見どころについて教えてください。
セイフライド「この作品はリンダという女性の人生の旅とリンダとチャックという信じられない二人の関係を描いている。それぞれのキャラクターを掘り下げ、リンダの物語をもっとも良い形で伝えていると思う。リンダのサバイバルだった人生、勇気を見てほしいわね」
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