「ムカデ人間3」トム・シックス監督
2015年8月20日

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映画史上屈指の悪趣味さで世界を驚嘆させたシリーズもついに完結。本3部作で類まれな才能とユーモア・センスを遺憾なく発揮し、次回作への期待も高まるトム・シックス監督にインタビューを敢行した!

mukade3_sub1「ムカデ人間3」
8月22日(土)公開
配給/トランスフォーマー
監督・製作・脚本・出演/トム・シックス
出演/ディーター・ラーザー ローレンス・R・ハーヴェイ エリック・ロバーツ 北村昭博

1作目は3人、2作目は12人、そして今回はなんと500人…! 人間の口と肛門をつなげるという常軌を逸したアイデア&映像が世界中で物議を醸した「ムカデ人間」最新作。巨大刑務所の囚人全員がつながる地獄絵図は圧巻の一言。

「やりすぎ」と思われる映画を作りたかった

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――ついにシリーズ最終章ですね。今作では何を表現しようと試みたのでしょう?

トム・シックス(以下シックス)「『ムカデ人間』は最初から3部作にしようと思っていたんだ。というのも、このシリーズは3本がひとつに繋がる“映画ムカデ”なんだよ(笑)。今作は2作目のラストから始まるんだけど、今回はXXXL、つまり超特大のムカデ人間を披露することにしたんだ。前作とは全然違う作品だよね」

――500人がつながる本作ですが、あの壮観かつ衝撃的なシーンの撮影裏話を教えてください。

シックス「あのシーンは大変だったよ! 多くの人がムカデ人間の一部になりたがったからね。『出させてくれ!』って何百通もの手紙が届いた。中には『ムカデ人間の一部になって本当にウンコを食べたい』と懇願してくる人もいたよ……。撮影当日バスに乗って何百人もの人が現場にやってきて、彼らの手と膝をつないで撮影をしたんだ。砂漠の灼熱地獄でみんな逃げ出しそうだったから、水とかを与えたりしながらね(苦笑)。完全にクレイジーな撮影だったよ」

――あの刑務所は本物ですよね? どうやって見つけたのですか? 場所はどこでしょう?

シックス「LAの少し郊外なんだ。閉鎖されていた巨大な刑務所で、ウィル・スミス主演の『ハンコック』の撮影でも使われたことがある。でも面白いことに、今は再オープンして刑務所として使われているんだ」

――過去2作の主演、ディーター・ラーザーとローレンス・R・ハーヴェイが再出演しています。なぜ彼らを再び主演に選んだのでしょう?

シックス「彼らは非常に重要な存在だからだ。1作目の成功の要因のひとつはディーターだし、2作目の場合はローレンスだった。だから『どうして新キャラクターを登場させる必要があるんだ? 彼らに戻ってきてもらおう』って決めたんだ。2人の悪役が一緒に働くのは最高のアイデアだと思ったしね。みんなそれぞれ異なるキャラクターだし。シリーズものの映画で、主人公がそれぞれ異なる極悪人という映画はあまりないんじゃないかな。独創的で楽しいよね」

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――本物の元囚人が出演しているそうですが、彼らと仕事をしてみてどうでしたか?

シックス「クールな体験だったよ。彼らは刑務所が実際どうなっているか知っているからね。オレンジ色のジャンプスーツを着て『本当にまた刑務所に戻ってきたみたいだ!』って言ってた。みんなタフガイばっかりだったけど、現場で僕がやっていることを見て、彼らは大ショックを受けていたな(笑)。本物の囚人にショックを与えられて最高の気分だったよ」

――今作はアメリカの産獄複合体を揶揄したホラーコメディに仕上がっていますが、このアイデアはどうやって生まれたのですか?

シックス「1作目はドイツで、2作目はロンドンで撮影したんだけど、3作目はすべてが超巨大に、XXXLな作品を作ろう!って考えて、すぐにLAでの撮影が思い浮かんだんだ。あの街ではコーラもハンバーガーも何もかも巨大だからね。『やりすぎ』だと思われる映画を作りたかったんだ。だからアメリカで撮影したんだよ。世界中の誰もが悪名高いアメリカの刑務所のシステムを知っているからね。オレンジ色のジャンプスーツとグアンタナモ湾の収容所をね。世界的に認知されているイメージだし、それを利用させてもらったんだ」

――3作とも繋がっていますが、それぞれテイストが異なる珍しいシリーズです。同じことを繰り返したくないという監督の強い思いからでしょうか?

シックス「ああ、まったくその通りだよ! シリーズものの映画では2作目が1作目より酷いということはよくあるからね。僕は毎回完全に異なる映画を作ろうと試みたんだ。だからトーンも色調もルックもそれぞれ異なる。そのほうが満足いくし、色々考えさせてくれるからね」

次回作は「ムカデ人間」とはまったく異なるサイコロジカルな作品

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――3作の中で一番製作が大変だったのはどれですか?

シックス「実は1作目なんだ。想像できないだろうけど。誰も手と足を床につけ、お尻の穴に口をつけたいなんて思わなかったから……。葛藤の連続だったよ。会った女優たちには『そんな役やらないわ。あなたは馬鹿よ』って言われ続けたね。でもそう言ってた人はみんな、今は出演しなかったことを後悔してるよ(笑)」

――世界中で物議を醸した「ムカデ人間」シリーズですが、ファンに言われて一番恐ろしかった言葉はなんですか?

シックス「さっきも言ったけど『本物のウンコを食べたい』ってメールがきたし、SM系の女性たちからは写真が送られてきたね。僕とか映画のキャストに虐待されたいと言って……。クレイジーな人がたくさんいたな。『お前を殺してやる!』っていう脅迫の手紙やメールもたくさん届いたね。『お前はヒトラー以下だ!』『悪魔以下だ!』って散々言われたよ(苦笑)」

――3部作のフィナーレということですが、これが本当に最後なのでしょうか?

シックス「ああ、もう『ムカデ人間』を作ることはないね。これでおしまい。でも、数年後に『キャタピラ人間』(The Human Caterpillar)を作るかもしれないな。腕と足がない人間でキャタピラを作る映画だよ!」

――わはは! 楽しみにしてます! では最後に次回作について教えてください。

シックス「『ザ・オナニア・クラブ(Onania Club)』という映画を撮るんだ。非常にダークで漆黒の、邪悪な作品だよ。これまた物議を醸すんじゃないかな(笑)。『ムカデ人間』とはまったく異なるサイコロジカルな作品だ。来年初頭にLAで撮影して、年末には公開したいと思っているよ!」

●プロフィール
トム・シックス
1973年オランダ生まれ。子供の頃にパゾリーニの「ソドムの市」(’75)を観て映画監督を志す。好きな監督はデヴィッド・クローネンバーグや三池崇史。’04年に「Gay(原)」で監督デビュー。

取材・文/小林真里
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