Netflixのオリジナル・シリーズ「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」で強烈な女囚キャラクターを演じた2人、ウゾ・アドゥバとラヴァーン・コックスが来日。アドゥバは今作のクレイジー・アイズ役で、今取材の後に発表された第67回エミー賞でドラマ・シリーズ部門の助演女優賞を受賞(2年連続)した。そして自身と同じトランスジェンダーのキャラクターを演じたコックスは、作品の成功を足掛かりに性的マイノリティの理解を深める活動をスタートさせた。作品のイメージとまったく違う、キュートな2人のインタビューを長尺版でどうぞ!!
「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」
Netflixで配信中
原作/パイパー・カーマン
出演/テイラー・シリング ローラ・プレポン ウゾ・アドゥバ ケイト・マルグル― ナターシャ・リオン ラヴァーン・コックスほか
数年前の罪で刑務所に収監されたお嬢様育ちの白人女性パイパー(テイラー・シリング)を主人公に、女子刑務所の内情をセンセーショナルに描き話題に。
すべてを削ぎ落して純粋に演技だけで勝負しなければいけない、だからこそやりがいがある(アドゥバ)
――お二人とも、ドラマと全然違います! すごいキュートでお美しいです。
コックス「あら?ドラマの中では美しくなかったかしら(笑)?」
――いえいえ(笑)ドラマは刑務所の中の話でずっと囚人の衣装ですし、(取材時の)このように華やかで笑顔満開だとイメージが違います!
アドゥバ「脚本を読んで、とても豊かなストーリーだったのでそれに出演できるなんてとてもワクワクしていました。だから自分がドラマの中でどのように映っているのかなんてあまり気にしなったと思う、それぞれのキャラクターがとても深く描かれているの。スザンヌは世の中をどう見ているのか、脚本からすごくはっきり伝わってきたわ。メイクはいつもとは逆で『肌を汚く見せる』メイク。肌の色もわざと濃くした。ニッキー役のナターシャ(・リオン)が言ってたことなんだけど、この作品の女優達は飾り立てる部分を全部そぎ落として、逃げ場のない状態に追い込まれて純粋に、演技だけで勝負しなくてはいけないと。そういう意味でもやりがいがありました」

――コックスさんが演じるソフィアは美容師。他の人よりおしゃれが楽しめましたか?
コックス「現場では、少しうらやましがられたかもしれない。とにかく刑務所の中の話なので、いろいろ購買部で調達してくるわけだけ、、あまりメイク道具の種類がないの。流行の色もない。ありものを使っていろいろ工夫してメイクする。現実の刑務所ではどの程度おしゃれができるのか気になって、刑務所内の実態をいろいろ調べてみたんだけど、ドランスジェンダーでも女性の刑務所に入ればお化粧は可能なの。でも、トランスジェンダーが男性の刑務所に入るとメイクはできない。調べてみて興味深いと思った。アメリカでは州によっても違うのだけど、性器がどちらかで(男女どちらの刑務所に行くかを)決められることが多い。生まれたときの性別で判断されることもあるけど、刑務所内のレイプを防止する法律があるから、そういう基準のようです。トランスジェンダーの立場から言うと、人によっては性別を変えたくても資金がなくて手術を受けられないケースもあるから、本人がどう感じているかが基準になればいい、そう思っているわ」
――改めてお二人のキャラクターを紹介してください。
アドゥバ「スザンヌ、通称クレイジー・アイズは愛にあふれる、とっても誠実で正直な女性よ。純粋で情熱的。1から10で言うと、すべてのことを10の勢いでやるタイプ。愛するのも嫌うのも、ケンカするのも、ね。激しい感情をもち、世の中に対する見方もはっきりしている」
コックス「ソフィアが何故刑務所に入ったのかは観てのお楽しみなのだけれど、注目してほしいのは家族との関係。刑務所内の立場は周囲にいろんなアドバイスをしてがえる粋なお姉さん的な感じかしら。刑務所内の制度上、うまくいかない状態で自分の人間性を保とうと頑張っている。自分のほしいものを手に入れるために頭を使うわ。芯が強くてサバイバル意識も強い、タフな女性。でも実は繊細なところも。それは決して見せないけれど」
――オンデマンド作品ならではの魅力がありますよね。
コックス「一番の違いは放送と並行して撮影をしていないってこと。シーズンを全部撮り終ってから配信するから、視聴率のしばりがない。いまは『シーズン3』が配信中『4』を撮影中です」
アドゥバ「シリーズものが初めてなので違いが分からないけれど。Netflixは既存の作品よりもオリジナル・シリーズを重視している。とても自由にクリエイティブできている。ストリーミング用のシリーズはまだ新しいから、こうあるべき、という概念がないのね。だから自由に作ることができるのが魅力だと思う。日本でもオリジナル・シリーズを作るのよね。楽しいメディアよ」
ソフィアのおかげで人生が変わったと言われる。それが私にとっていちばんうれしい(コックス)
――「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」が注目され、露出が増える中で何か変わりましたか?
アドゥバ「周りから声をかけられ作品を褒められたりするのはうれしいわ。何より出演を続けていられることが一番うれしい。自分が情熱をもって語りたいと思えるストーリーを語れるって素晴らしいこと。脚本もすばらしいし、周囲のパフォーマンスも刺激になる。キャストみんなが好きなの。もうみんな親友よ。でも、街中で声を掛けられるのは恐縮だわ。まさか囚人の物語でみんなに感謝されるなんて思わなかった(笑)」
コックス「私は、この作品がきっかけで米国やほかの国の大学で講義するツアーがはじまったの。多くの人から『ソフィアのおかげで人生が変わった』と言われる。カナダのエドモント州では『ソフィアに出会えたことがきっかけでカミングアウトすることができた』と感謝され、ほかにも『手術を終えて女性になれ素の状態で生きられる。とてもハッピーだと言ってくれた人』がいた。シカゴでは15歳でトランスジェンダーと気づいた子が、『俳優を目指していたのにその夢をあきらめようと思っていたのだけれど、ラバーンさんのおかげで夢を追い続けることができた』と。いろんなストーリーを聞かせてくれる。それが私にとって一番うれしいことなのです」
■プロフィール
クレイジー・アイズ役
ウゾ・アドゥバ(左)
1981年米国ボストン出身。主人公に恋心を抱く今役を熱演しエミー賞を2年連続受賞。2016年全米公開予定のユアン・マクレガー監督作に出演
ソフィア役
ラヴァーン・コックス(右)
1984年米国アラバマ州出身。獄中でもヘア・サロンを営むソフィア役で役柄もトランスジェンダー。TVシリーズの制作や脚本もこなす
撮影/HAJIME
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