目覚めたら知らない街にいた。そしてその街から、どうしても抜け出せない――。無気味で中毒性の高い新感覚の脱出ミステリー・ドラマを引っ提げて、鬼才が来日。今作の魅力はもちろんのこと、好んで観ていたというTV番組やTVと映画の演出の違いについてなどなど、じつに気さくに話をしてくれた。
「ウェイワード・パインズ 出口のない街」
12月2日(水)DVDリリース
DVDコレクターズBOX●8000円
※単品レンタルDVD前編1〜3と後編1〜3が同時リリース
発売・販売元/20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
監督・製作総指揮/M・ナイト・シャマラン
出演/マット・ディロン ジュリエット・ルイス テレンス・ハワード メリッサ・レオ
M・ナイト・シャマランが初めて製作総指揮&第1話監督を務めるTVシリーズ。交通事故に遭ったシークレット・サービスの捜査官イーサン(マット・ディロン)が目覚めたのは、ウェイワード・パインズという田舎の街。外部と一切連絡が取れず、無気味な住民たちに監視されながらイーサンは脱出の機会をうかがうが、やがて、彼は街に関する驚くべき秘密を知ることになる。全10話。
――「ウェイワード・パインズ」を見て、スティーヴン・キングの世界と「ツイン・ピークス」(’90~’91)を足したような印象を受けました。ご自身はこの作品をどう形容しますか?
M・ナイト・シャマラン(以下シャマラン)「うん、そうだね。『ツイン・ピークス』的な雰囲気は確かにあるよね。トーンとか“次に何が起こるんだろう?”っていうミステリー部分とか。でも、製作前に僕らが話し合ったのは『ミステリー・ゾーン』(’59~’64)のとても長いひとつのエピソードみたいな作品をつくろう、ってことだった。とても奇妙な状況を舞台にしたミステリアスな作品をね」
――「ツイン・ピークス」からの影響についてはどうですか?
シャマラン「実は、原作小説の著者ブレイク・クラウチが『ツイン・ピークス』の大ファンなんだ。この作品も奇妙な小さな街が舞台で、登場人物はみんなどこかおかしい。アイスクリームとかパイも出てくるし(笑)。共通点は少なくないよね」
――あなたも「ツイン・ピークス」はお好きですか?
シャマラン「ああ、大好きだよ!『ツイン・ピークス』のパイロット版は、TVシリーズ史上最も素晴らしい作品だと個人的には思っているよ。アメイジングな作品だ。デヴィッド・リンチは僕にとって、創造のインスピレーションを与えてくれた大先生なんだ。『ブルーベルベット』(’86)も大好きだし」
――「ツイン・ピークス」は新シリーズも製作されますね!
シャマラン「ああ、本当に楽しみだ! すごくエキサイトしてるよ!」
――今作はシャマラン監督にとって、初めてのTVシリーズです。本シリーズに携わることになった経緯を教えてください。
シャマラン「以前からずっとTVドラマの仕事に興味はあって、数多くの脚本が送られてきたんだけど、内容はおもしろくても“僕は必要ないな”と感じるものばかりだった。確かにおもしろいけど、僕はこの作品には必要ないと思うようなものばかりで。でも、『ウェイワード・パインズ~』のパイロット版(第1話)の脚本は本当に、すごく良かったんだ。これこそ僕が本当にやりたい、語りたい物語だって思ったんだよ。デヴィット・リンチ的なトーンを持った作品だったからね。とても強く興味を引かれたんだ」
――あなたの作品の醍醐味であるユーモアも健在です! その素晴らしいユーモアのセンスはどのように培ったのでしょう?
シャマラン「僕のお気に入りの映画の多くには“シリアス・ユーモア”が仕込まれているからね。例えば、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジョーズ』(’75)。あの映画には多くのユーモアが込められている。観客を大笑いさせるようなユーモアではなく、緊迫感があるシーンで生じる笑いだ。子供の頃にあの映画を観て、恐怖と笑いが拮抗し合うことに気づいたんだよ」
――TVドラマの監督も初めてですが、パイロット版を監督してみてどうでしたか?
シャマラン「(製作元の)フォックスのおかげで、映画を撮るときと同じような素晴らしい環境を用意してもらったんだ。撮影前にはキャストたちとその家族を招いてディナーをしたりもしたし。とても親密に打ち解けることができたよ。TVと映画では共通する部分もあるけど、TVの撮影はやはり早いね。内容も映画よりはるかに多いし、映画だと脚本は100ページとか150ページだけど、TVシリーズだと全部で600ページとかずっとボリュームがある。構造も必要条件も映画とは異なってくるよね。僕にとって自然なことではなかったけど、学ぶのは楽しかったよ。でもやはり、パイロット版はいちばんプレッシャーがかかったね。作品そのものと、登場キャラクターを世界に向けて紹介をしなければいけない、シリーズのその後の全てを決定づける作品だから」
――2話目以降の監督はどのように選んだんですか?
シャマラン「僕の好きな作品の監督に電話して声をかけたんだ! 『ザ・イースト』(’13)のザル・バトマングリッジとか、北欧のTVシリーズ『THE BRIDGE/ブリッジ』(’11)のシャーロット・シーリング。あと、昔大好きだった『摩天楼を夢みて』(’92)のジェームズ・フォーリーとか。ニムロッド・アーントルにもお願いした。彼が監督した『モーテル』(’07)は最高だったからね。本来はスラッシャー映画になりそうな作品を、ジャンルを超越した作品に仕上げていたし。彼が撮ったこのシリーズのエピソード(第9話)は強烈だよ! ともかく自分の好きな作品の才能あふれる監督たちと仕事ができて楽しかったし、素晴らしい体験だったよ」
――キャストのアンサンブルも見事です。主演にマット・ディロンを選んだ理由は?
シャマラン「フォックスと話し合って、TVではなく映画で活躍しているアイコニック(偶像的)な俳優が理想だねって結論になった。ジョン・トラヴォルタみたいな俳優だね。そこで思い浮かんだのがマット・ディロンだった。彼ならドラマもできるし、作品にユーモアを持ち込むことができる。マットをキャスティングできてすごくラッキーだったよ」
――シャマラン監督は、どんなTVドラマを観ながら育ったのですか?
シャマラン「コメディものが多かったかな。SFだと『ミステリー・ゾーン』や『スター・トレック』シリーズとか。あと『X-ファイル』(’93~’02)も大好きだよ。でも、いちばん好きなのは『ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア』(’99~’07)。映画レベルのストーリーテリングを持った初めてのTVシリーズだからね。今でもまた最初から全て観られるぐらい大好きなんだ!」
■プロフィール
1970年、インドで生まれ米ペンシルバニア州で育つ。主な監督作に「シックス・センス」(’99)、「サイン」(’02)など。近作の「ヴィジット」(’15)も話題に
取材・文/小林真里
(C)Kuniko Hirano
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