石ノ森章太郎と永井豪の代表作によるまさかのコラボレーションが話題の「サイボーグ009VSデビルマン」。その上映を記念して、「デビルマン」の原作者である永井豪にインタビューを敢行! 石ノ森のアシスタント時代のエピソードや、影響を受けた映画について語ってもらった。
「サイボーグ009VSデビルマン」
10月17日(土)より2週間限定イベント上映
配給/ティ・ジョイ
11月11日(水)BD・DVD発売
発売元/東映ビデオ 販売元/東映
監督/川越淳
原作/石ノ森章太郎 永井豪
声の出演/福山潤 浅沼晋太郎 白石晴香 前野智昭 M・A・O 東地宏樹 小山剛志 水島裕 郷田ほづみ 岡村歩 早見沙織 日野聡
ミュートス・サイボーグとの死闘に辛くも勝利したサイボーグ戦士たち。その直後、ESP能力を持つ001=イワンが“悪魔”の出現を予見し、ゼロゼロナンバーたちは調査を開始。やがて、009=ジョーと003=フランソワーズは、とある郊外の町で、飛鳥了と共にデーモン族と闘っていた不動明=デビルマンに遭遇する。
――「サイボーグ009」と「デビルマン」がコラボする企画を初めて聞いた時の先生の反応は?
永井豪(以下永井)「『えっ?!』って驚きましたね。本当にやっちゃっていいの?って。僕の中では圧倒的にデビルマンが強いので(笑)。サイボーグやっつけちゃうけど大丈夫かな?って思いました」
――実際にこのアニメを観てみてどう感じましたか?
永井「うまく二つの世界を合わせてくれて、良かったなって思いました。僕と石ノ森先生の絵は手塚治虫先生の影響を受けていて、絵的に似ている部分はあると思うんですが、作風はかなり違う。もしかしたら水と油になるのでは、という懸念もあったのですが、かえってキャラクターと作風の違いをうまく出してもらえたおかげで、自分の資質もわかりましたし、石ノ森先生のキャラクターの資質も際立っていたので、両方のいいところが出た作品になった。嬉しかったですね」
――1965年から67年初頭まで、石ノ森章太郎先生のアシスタントをしていたときに学んだことで一番大きかったのは?
永井「生き様ですね。僕は趣味で漫画の世界に飛び込んだ。趣味の延長という気持ちがあったけど、それは通用しない世界だとすぐにわかった。石ノ森先生は遊び心いっぱいの作品を描いているけど、常に必死だというのがすごく見えてくる。死にもの狂いで描いているのがよくわかる。こうしないと生きれない世界だな、プロってそういうことだなって感じました。がむしゃらに描くという生き様を学ばせてもらいましたね」
――永井先生の漫画「バイオレンス・ジャック」は、世界観や題材が共通する「マッドマックス」より前に発表されました。最新作「マッドマックス 怒りのデス・ロード」はご覧になりましたか?
永井「はい観ました。面白かったですね。あそこまでやれたら大満足かなあって(笑)。だいぶ年を取っているのに、監督のあのエネルギーは凄まじいなあって」
――ジョージ・ミラー監督は1945年生まれで永井先生と同い年。生まれた国やバックグラウンドは異なりますが、アーティストとして共鳴する部分も多々あると思うのですが。
永井「そうかもしれないですね。戦後すぐ生まれて、戦争を経験した親の話を聞きながら育った世代ですから。戦争の悲惨さもわかっている。人間を見る目が厳しいというか。『そんなに甘くないんだよ』って(笑)風に、人間を描けると思うんです」
――「パシフィック・リム」公開時に「マジンガーZ」を引き合いに出す声も多かったのですが、巨大ロボットが活躍するあの大作、先生の目にはどう映りましたか?
永井「自分の作品もあんな風にハリウッドで実写化してもらいたいな、って感じましたけど、やはり日本主導じゃないと作れないのかなって考えたり。いつか実現したらいいなって思ってます。自分の作品が先行していただけに、ああいう世界観を全部持っていかれて残念だなあって(苦笑)。映画は映画として割り切って観るので、面白かったですけど」
――今ハリウッドで主流のアメコミ・スーパーヒーロー映画をご覧になったりしますか?
永井「全部観てますよ。クリストファー・ノーランの『バットマン』も、ティム・バートンの『バットマン』も好き。『X-MEN』も好きです。クリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』もフィリップ・ワイリーが書いたSF小説『闘士』のイメージも取り込んでいて良かったですね」
――マーベルとDCだと、DCの作品のほうがお好きでしょうか?
永井「そういうことでもないですよ。マーベルのほうがやや漫画っぽい。DCのほうがダークだったり、リアルだったりしますね」
――「デビルマン」はホラー漫画だと思うのですが、先生のホラー映画はお好きでしょうか? この作品はどのように生まれたのでしょう?
永井「ホラーはとにかく好きですね。『デビルマン』の原作を描くときもホラーをベースにしました。当時の少年マガジンという、読者がリアル志向で年齢層が高い漫画誌での掲載だったので、ファンタジーな世界で現実的ではないキャラクターを主人公に据えるというところで、下手したら馬鹿にされてしまう。どういうテイストにしたら納得してもらえるか考えた時に、人はどこか幽霊を信じている部分もあると思うので、ホラー的な要素を思いっきり強く入れていけば、ああいうファンタジーのキャラクターにも引き込まれるんじゃないかなと思ってホラー色を強くしました」
――そうだったんですね。
永井「僕自身、ホラー映画はたくさん観てますし。やや苦手なのがゾンビですね。ゾンビの不潔感が……(笑)。ああ、腐ってんだろうなって(笑)。ただ最近のゾンビは色んなバリエーションがあって、その辺は面白くなってきましたね。ドラキュラはゾンビに近い存在ではあるんだけど、キャラがある意味美しい。その辺がいいなって思いますね」
――「デビルマン」が発表されたのは1972年。これは例えば、ホラー映画ですと「エクソシスト」(’73)や「オーメン」(’76)、「悪魔のいけにえ」(’74)といった70年代のホラーの代表的作品より早かった。どういう作品を参考にしていたのでしょう?
永井「たくさんあったと思うんですけどね。『狼男』とか『フランケンシュタイン』とか。この間も新しい作品が作られた『ドラキュラ』とかも。日本のホラーよりも洋画のホラーが好きだったので。イギリスのハマー・フィルムの作品も好きでしたね」
――48年という輝かしいキャリアを誇る永井先生ですが、長きに渡って活動を続け、多数の漫画を描き続けることができた秘訣を教えてください。
永井「たくさんのものを自分の中に取り入れてきたからでしょうね。新しいもの好きなんです(笑)。新しい映画もがんがん観るし、劇場で見逃した作品はDVDやケーブル・チャンネルで片っ端から観るといった感じで。ジャンル問わずなんでも観ますから。多分、それが刺激になって作品が生まれているんだと思います。なにか一つの作品の影響で作品を作るのではなく、たくさんの作品が頭の中で何回も何回も解体されて、自分の中で作品が形作られていくって感じがするんです」
●プロフィール
永井豪
1945年生まれ。’65年に石ノ森章太郎のアシスタントになり、その後、’67年に「目明しポリ吉」でデビュー。代表作に「デビルマン」や「キューティーハニー」がある
取材・文/小林真里 写真/丸山尚(アーネスト)
(c)2015「サイボーグ009VSデビルマン」製作委員会













