“ペナントに載っている日本”みたいなノリが楽しい。ツッコミ過ぎるのは野暮です
■今月の一本
「ウルヴァリン:SAMURAI」
■見せたい相手
国際恋愛中のカップル
予想どおり、見どころ満載の映画でしたねえ、「ウルヴァリン:SAMURAI」。なんてったって“日本が舞台”であるという。特に東京の、知ってる風景が出て来ると、「ここでロケやったんだ!」とか「あれ? 何かヘンだなあ」とか、感心しつつ、ツッコミもしつつ。東京タワーの近く、芝大門にある増上寺で大々的な葬儀のシーンが撮影されているんだけど、けっこうなエキストラの人もいる中で、いきなり銃撃アクションが始まっちゃったりして(笑)。そこからウルヴァリンはヒロインを救いだし、秋葉原、上野あたりを武装集団に追われながら逃げていく。増上寺からいきなり秋葉原にワープした、みたいに見えるのがおかしくて。でもそんなのはまだまだ序の口で、ちょっと加工されてる日本がおもしろかった。
有名な映画ですが、ずいぶん昔、「007は二度死ぬ」の舞台が日本だったんですよね。60年代にショーン・コネリーが初代ジェームズ・ボンドを演じてたヤツ。伝統というのか、ウルヴァリンがお風呂に入るシーンで相変わらず女の人たちが体を洗うのを手伝ってました。その屋敷はかつて、ウルヴァリンによって命を救われ、今は実業家として成功した元日本兵のものなんだけど、あれは大金持ちってことの象徴なんですかねぇ? 何だか時代劇に出てきそうなお殿様への待遇を思わせ、アメリカ人の「こんな日本だったらいいのになぁ」って夢も入っている気がします。
言ってみるなら「ペナントに載っている日本」みたいな、そういうノリ、スタンスも引っくるめて楽しめました。よくよく考えてみればこれ、「X-MEN」シリーズなんですから、マーベル・コミックス、アメコミの実写版で日本を描くとしたら、こんなふうにデフォルメされるのは当たり前。きっとアメリカを舞台にしていても毎回、かなりヘンな世界観でやっているはずですよ。
悪役で真田広之さんが出ていて、主役のヒュー・ジャックマンも日本贔屓で、もう何回も来日してるじゃないですか。当然、「これが本当の日本の姿」だとは思ってなくて。「わかった上で」デフォルメされた日本を楽しんでいるのが伝わってくる。だから、ツッコミ過ぎるのも野暮なんですよね。
と言いつつ。今回も出てきましたよ、ニンジャが! 実際、アメリカ人ってニンジャのことがすげえ好きっすよね。僕、テレビ東京で「Youは何しに日本へ?」っていう、空港で出会った外国の方々に密着取材する番組のMCをやらせてもらってるんですけど、本当にニンジャが好きな人が多くて(笑)。やっぱり向こうの人からしたら“忍者”はミュータントに見えるんでしょうかねぇ。まあ僕も、ミュータント物が大好きだからその気持ち、わからないことはないですけど。
そういえば、これはミュータントではないんですが、武装集団…っていうかズバリ、目を引くヤクザがひとりいて、コイツがスゴくってね! 時速300kmで走っている新幹線の屋根に上がって、とんでもない風圧を受けながら、ウルヴァリンと驚くべきバトル・アクションを展開するんですよ。ウルヴァリンならわかるけど、生身のアイツ、いったいどういう体の構成してるんだ(笑)。あと、ヤクザ役で総合格闘家の小川直也さんがチラリと出てきたり、ホント、細部まで見逃せないです、この映画。
さてさて。今回はどういう人にオススメしたらいいんだろう…うーむ、現在、日本で国際恋愛中の人たちに見てもらおうかな。おそらくね、両者の文化の違いでよくケンカとかしちゃってると思うんですよ。そんな2人に互いの文化を尊重してもらいたい。ウルヴァリンと日本人のヒロインの関係を通してでもいいし、この映画自体、けっこういいツールになると思うんです。これを見ると、日本がざっくりわかるというか、忍者、東京タワー、お寺、着物、ヤクザ、ラブホテル…とか海外の人たちがぼんやり知っている日本が詰まっている。そのデフォルメ具合を説明してあげるのも手だし、ロケ地巡りもしたら立派なデートになりますよ。広島や愛媛でのロケもあったので、旅行もできます!
で、シリーズ物なので過去作も見てみるのもあり。あるいは、「X-MEN」シリーズも「ウルヴァリン」シリーズもまだまだ続いていくみたいなので、相互理解を深めて次回作をいっしょに劇場に見に行くのはどうでしょう? そのためにも新作がやって来るまで、まずは頑張って付きあい続けてくださいね。
「ウルヴァリン:SAMURAI」
「X-MEN」シリーズの人気キャラクター、ウルヴァリンを主人公にしたスピンオフ第2作。日本を舞台に、治癒能力を失なったウルヴァリンの激闘を、剣術や武術をベースとしたアクション満載で描く。東京・芝の増上寺をはじめとした日本での大規模ロケも話題に。監督は「ナイト&デイ」のジェイムズ・マンゴールド。
監督/ジェイムズ・マンゴールド
製作・出演/ヒュー・ジャックマン
出演/真田広之 TAO 福島リラ
DVD&ブルーレイ/20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
■プロフィール
1973年、埼玉県出身。’93年に日村勇紀とお笑いコンビ、バナナマンを結成。俳優の仕事も多く、「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」(’10)で映画初主演。現在、フジテレビ系「ノンストップ!」の司会を務める
■バナナマンinformation
フリートーク&ノープランロケ企画を収録した「バナナ炎炎 炎の大炎上セレクション」DVD-BOXが発売中。2013年8月に東京・俳優座劇場で行なった単独ライブ「Cutie funny」のもようを収めたDVDが1月15日にリリース
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撮影/諸永恒夫












