設楽統のこの映画にしたら? Vol.20「舞妓はレディ」
2015年3月18日

お茶屋の客が、少女が舞妓になれるかどうかを賭けるストーリーがハリウッド的!

■今月の一本
舞妓はレディ

■見せたい相手
乃木坂46さん

僕、ミュージカルだと知らずに見たんですよ。だから登場人物がいきなり歌い出したときには驚きました。あ、今ミュージカルと聞いて「とっつきにくい」と思ったそこのアナタ。そのイメージは捨ててください! まず「舞妓はレディ」っていうタイトルのセンスが抜群。ジャケ買いじゃないけど「見たい」と思わせるインパクトがあります。タイトルの元ネタはオードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」。僕は見ていないけど、聞くところによればなまりのある女性がステキなレディになるという構成も同じだそうで、見ていたらさらに楽しめたんだろうな。

肝心の「舞妓はレディ」ですが、主人公、春子のイモっぽさが絶妙! 最初は両親ゆずりの津軽弁&鹿児島弁がキツくて。方言ってフシギですよね。同じ日本人なのに、まったく何を言っているか分からない! でも言語学者の指導のもと、なまりが薄れ、京ことばが身に付いていく過程がていねいに描かれているんです。いきなり京ことばがうまくなってしまってはダメで、そのさじ加減がうまいなぁと。女の子の方言ってとにかくカワイイけど、とりわけ京ことばの女の子はモテると思います(笑)。春子役の上白石萌音さんは800人のオーディションを勝ち抜いた新人女優さん。彼女のピュアな演技のおかげで、先入観抜きに春子の人生を楽しめたし、ラストの舞妓姿には感動しました。ひとりの少女の成長物語としても見ごたえ十分なんです!

長谷川博己さん扮する言語学者や、岸部一徳さん演じる何とも言えない厚みのある(笑)老舗呉服屋の社長など脇を固める人たちもみんな個性的。で、それぞれにミュージカルの見せ場があるんですが、特に僕がお気に入りなのは、富司純子さん演じる女将さんの回想シーン。三日月に座って歌う場面がポップでかわいらしくて。こうしたミュージカル・シーンもそうだけど、言語学者と社長が、ひとりの少女が舞妓になれるかどうか賭けをするというストーリーはスゴくハリウッド的。日本の伝統文化を盛り込みながら、ひとつのエンターテインメントに仕上げているところに周防正行監督のスゴさを感じます。

春子を指導する歌や舞踊の先生たちもみんないい人たちでね。舞妓さんってこんなに学ぶことあるんだ!?とビックリしましたけど。春子の下積み生活に昔の自分を重ねたりしたか、ですか? これを学ばなきゃ!というものは特にないし、先生に何かを教わるというよりは、自分たちが考えたネタをひたすら練習するだけ。だから春子とはかけ離れているけど、相方の日村さんは、昔、渡辺正行さんと一緒にタップダンスを習っていたんで、それをネタで使ったことがあります。「芸は身を助ける」とはまさにこのことですよね。

「歌う」「踊る」っていうのは、昔からある古典芸能。でも形や見せ方が違うだけで、華やかな世界に身を置くという意味では、舞妓さんって一種の“アイドル”ですよね。舞台裏ではイイ女になるための修行に一生懸命。本作はアイドル全般に見てほしいけど、特にバラエティ番組で共演している乃木坂46のメンバーにオススメしたいです。なまりで悩んでいる子もいるだろうし、自分たちが輝くために協力してくれる大人がたくさんいることを実感できるはず!

見終わって思ったのは、舞妓や花街の世界はホントに奥が深いなってこと。特に印象的だったのは、舞妓さんの「おおきに」ということばの意味。感謝を表わす他に、誰かに誘われたときにハッキリ断わっちゃいけないから「おおきに」でうまく逃げる、と。いわゆる本音とタテマエってやつですね。こうした気遣いの文化は日本独特だし、その美学をきちんと描いているのも本作の魅力のひとつ。「おおきに」は仕事でも使えそうだから、ぜひ乃木坂46にも活用してもらいたいですね(笑)。

この映画を見るまでぶっちゃけ舞妓と芸妓の違いもよく知らなかった僕ですが、春子みたいに手塩にかけて育てられた舞妓さんをリアルで見てみたい気もする。これを機にお茶屋遊びにデビューしようかな。お酒は飲めないけど。

舞妓はレディ

「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督が20年前から着目していた舞妓の世界を描いたエンターテインメント。一人前の舞妓になるために地方から京都の花街へやって来た少女、春子。彼女は老舗のしきたりや稽古、慣れない京ことばに悪戦苦闘しながら成長していく

監督・脚本/周防正行
音楽/周防義和
出演・歌/上白石萌音
出演/長谷川博己 富司純子 田畑智子 草刈民代

発売元/フジテレビ・東宝・関西テレビ・電通・京都新聞・KBS京都・アルタミラピクチャーズ
販売元/東宝

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とお笑いコンビ、バナナマンを結成。俳優の仕事も多く、「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」(’10)で映画初主演。フジテレビ系「ノンストップ!」、テレビ朝日系「~世界にひとつ~ミラクルレシピ!」の司会を務める。

■バナナマンinformation
昨夏の単独ライブを収めた「banana man live Love is Gold」、深夜特番「そんなバカなマン」のDVD、映画「ゴッドタン キス我慢選手権THE MOVIE2 サイキック・ラブ」BD&DVDが発売中。また「バナナステーキ」DVD-BOXの第3弾が5月2日に発売される。

©2014 フジテレビジョン 東宝 関西テレビ放送 電通 京都新聞 KBS京都 アルタミラピクチャーズ

撮影/諸永恒夫

LINEで送る

アーカイブ
@dvdbddataweb からのツイート