金融工学のお勉強もできてカタルシスもある社会派ドラマ
第88回アカデミー賞で脚色賞を獲った、アメリカ金融業界の勝ち残り人生ゲーム。リーマン・ショックとは結局何だったのか、勝ち残ったヤツらの方程式は何だったのか、とても勉強になる大人のドラマ。またコメディ畑のアダム・マッケイ監督らしく、随所にコメディ・シークエンスが挟まり飽きさせない。
2005年、住宅バブルに沸く米国のウォール街には億万長者があふれ、わが世の春を謳歌。しかし、何か変じゃないか?こんなことがいつまでも続くはずはないんじゃないか? と気づいた男たちがわずかながらいた。彼らは、各々独自のやり方で自分のカンを検証。すると、低所得者層へのサブプライム・ローンは焦げ付いているのに、証券化されて市場へ流れて実態が分からなくなっていることが見えてきて、バブル崩壊は近いと確信する。
そこで彼らは勝負に出ることに。バブルが崩壊した暁には自分の所にカネが入ってくる仕組み=値下がり保険をかけておくのだ! (この仕組みがどんなものなのかは、劇中マーゴット・ロビーがバスタブでセクシーに教えてくれる)
本作には、あらゆる種類の銭の亡者が登場する。「なんでかわかんないけど~私にジャンジャンお金貸してくれるの~」と言うストリッパーに、昼からシャンパンを汲み交す金融業の若造、分かっていない庶民を相手に「住宅価格は天井知らず!」と煽る証券マン、バブル崩壊がなかなか起こらないとねじ込んでくる投資家…。世界に先駆けてバブル崩壊を経験した日本人だからこそ、本作制作側の意図がよく分かる。
ブルーレイ&DVDには、登場人物たちの実在するモデルを追う「異端の英雄たち:登場人物」や、リーマン・ショックを説明する「砂上の楼閣:崩壊への道」、バブリーだった2005年の米国を検証した「真に迫る:時代の再現」などの映像特典。あの時代とあの崩壊現象への理解が進むはずだ。最後に一つ。インホームで観るからこそ、劇中飛び交う金融用語が分からなくなったら、一時停止をしてネット検索することをオススメします。用語が分かっている方が絶対に楽しめるから。



