第十四回 ヒーローとは何ぞや?と考えさせられる…!? 「スーパー!」【後編】
- 2025.09.16
黒木華が“華”(=ハイライト)と“実”(=テーマ)を合言葉に気になる映画を語る、本誌好評連載のロング・バージョン。今月は…意外なチョイス!? 笑えるけれどちょっと切ない、バイオレンスなアクション・コメディ!
映画を愛してやまない大人たちの本気を見た気がします。
――しかし、DVDの特典映像のメイキングを見ると、ジェームズ・ガン監督が筋金入りのアメコミヒーロー・マニアなんだな、というのが一目瞭然なんです。アメコミヒーロー好き向けの小ネタを挟むなど、見るからに楽しそうに撮っていて(笑)。
黒木 リビーがクリムゾンボルトの相棒になると言い出して、「バットマン&ロビンみたいなコンビ名にしたい」と候補名を挙げていくたび、フランクからダメ出しをされるくだりが見ていておかしかったですね(笑)。監督のオタク気質が透けて見えたと言いますか…。表向き社交的で男女問わず友達がたくさんいるリビーが、実はマニアック女子というのも願望が投影されているかも――と思いました。いい悪いは別として、キャラクターたちの行動がブッ飛んでいるところがある種の爽快感に通じている、その振り切っている演出が“華”ではないかと。フランクが街をパトロールするのではなく、あらかじめ事件が起こりそうな場所にいて何かが起きるのを待っている、というのが私はツボでしたね。ヒーローが事件に巻き込まれるのではなく、みずからひたすら待つというのがバカバカしくて。「仕事しなくていいの?」とツッコミたくなります(笑)。
――本当ですよね~。ちなみに、黒木さんはヒーローというかスーパーヒロイン的な存在に憧れたことはありました?
黒木 「美少女戦士セーラームーン」のセーラーマーキュリーが好きでした。…と思い出したところで、あらためて気がついたんですが、小さな女の子向けにつくられたヒロインが活躍する作品は、街が破壊されたり、暴力的な描写というのがほとんどなかったな、と。そう思うと、男の子向けのヒーローものというのは、結構踏み込んでいたりもしますよね。「スーパー!」は、そのエッセンスをブラックな笑いに昇華させることで皮肉っているようにも感じました。
――なるほど! では、“実”はどうでしょう?
黒木 一見、マニア心をくすぐる映画でありながら、見る者に正義と暴力を絡めながら、ヒーローの存在意義を問いかけてくるといったテーマ性ではないでしょうか。「それは本当に正しいのか?」と思うことを、正義として貫き通すフランクの姿に、いつしか肩入れしてしまっているという…。そして、映画の規模に関係なく快くオファーを受け、真剣にコメディを演じた豪華俳優陣! 映画を愛してやまない大人たちの本気を見た気がします。私もそんな大人になりたいですね。
――「リーガルハイ(シーズン2)」の本田ジェーンや「まほろ駅前番外地」の“復讐女”宮本由香里を演じた黒木さんも、相当ブッ飛んでいたと思います!
黒木 いえいえ、もっと振り切れないと…。もしも次にコメディ作品に出演する機会をいただけたら、バカバカしいことを徹底して真面目に演じようと思います。
| 「スーパー!」(’10米) 愛する妻を取り戻すため、さえない中年男がヒーローに!? ドラッグディーラーに妻を奪われた男が、お手製コスチュームに身を包み正義の味方“クリムゾンボルト”に変身。悪党どもを成敗していく。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のジェイムズ・ガン監督によるナンセンス・コメディ 監督/ジェームズ・ガン 製作総指揮・出演/レイン・ウィルソン 出演/エレン・ペイジ リブ・タイラー ケビン・ベーコン BD&DVD/ハピネット |
| <PROFILE> くろきはる 1990年3月14日、大阪府生まれ。NODA・MAP番外編「表に出ろいっ!」(’10)で本格デビュー。「小さいおうち」(’14)で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。NHK連続テレビ小説「花子とアン」が放送中。今後の出演作は、WOWOWの連続ドラマW「グーグーだって猫である」(10月18日放送開始)、映画「繕い裁つ人」(’15年1月公開)、「ソロモンの偽証」二部作(’15年春公開) 最新情報は公式サイトへ http://www.tokyo24.jp/artist/kuroki/ |
取材・文/平田真人 撮影/石川信介 スタイリスト/井伊百合子 ヘアメイク/北一騎




