• 第十三回 夏休みにピッタリ(!?)の痛快SFコメディ 「ギャラクシー★クエスト」【後編】

  • 2025.08.13

黒木華が“華”(=ハイライト)と“実”(=テーマ)を合言葉に気になる映画を語る、本誌好評連載のロング・バージョン。今月の一本に選んだのは…単純明快だけど奥深いSFコメディの名作!

 

特別な能力はない、普通の人たちがヒーローになっていく物語がツボでした。

 

──今おっしゃったように、「ギャラクシー★クエスト」は全編が人気シリーズ「スター・トレック」へのオマージュとパロディになっています。

 

黒木 しかも単にオマージュでは終わらず、ちゃんとSF作品として成立させているところが、素晴らしいと思います。映画の“あるある”要素が小ネタとして盛り込んであるのも楽しいですし…「キック・アス」などもそうですが、特別な能力をもっているわけではない、いわゆる普通の人たちがヒーローになっていくストーリーも、私にはツボでした。  

 

──VFXを担当しているのが「ターミネーター」シリーズや「ジュラシック・パーク」などを手掛けた大御所のスタン・ウィンストンというのも、何気にすごかったりします。

 

黒木 そんなすごい人が、本家にも勝るとも劣らないクオリティの映像を手掛けるところにも、ハリウッドの懐の深さを感じます。そういう「スター・トレック」愛に満ちているところが、ファン心理をくすぐるのかな、と思ったりもしました。

 

──ちなみに本家本元の「スター・トレック」はご覧になっていました?

 

黒木 昔のTVシリーズを一度だけ見たことがあります。内容はあまり覚えていないんですけど、やはりミスター・スポックの印象が強く残っていますね。昨年のベネディクト・カンバーバッチが出ていた新しい劇場版は、結局まだ見られずにいて…。でも、本家をあまり知らなくても楽しめるようにつくられているのが、まさしくみごとという他ないと思いました。

 

──そして単純明快に楽しめる一方、深読みすると、どんどん解釈が広がるという多重構造も作品の魅力ですよね。

 

黒木 演じ手の目線で見ても、ちょっと不思議な感覚がありますね。メインキャストは俳優役として出演していますが、さらに「ギャラクシー★クエスト」の役柄を劇中で演じ、しかも本当に地球を救う役目を負うことになる…という複雑な構造になっていますので。でも、その虚構と真実が入れ替わり、ウソが本当になっていくさまには夢がありますし、見る者をハッピーにさせてくれる。そこが“実”ではないかなと思います。 

 

──おぉ素晴らしい! では“華“はいかがでしょう?

 

黒木 名だたる名優たちとスタッフが結集し、単なるコメディでは終わらない、マニアックなのに誰もが楽しめるSFエンターテインメントをつくりあげたことではないでしょうか。CGや映像的にはちょっと時代を感じる部分もありますが、それさえも「ギャラクシー★クエスト」の世界観に変換してしまうパワーがある。見ればきっと、元気になることでしょう。

 

──この際、夏バテにも効きそうな映画と言ってしまいましょう(笑)。 

 

黒木 それこそ、まさに夏休みにピッタリな映画だと思います。世代を選ばず楽しめる一作なので、家族そろっての鑑賞をお勧めしたいですね。もしお気に召したのであれば、今度はちょっとマニアックな視点で見返して、矛盾点を見つけだすという楽しみ方もありかと。そんなふうに何度でも違ったふうに味わえるのも、この作品の魅力なんだなと、改めて感じました。

 

「ギャラクシー★クエスト」(’99米)
TV番組の俳優たちが宇宙の危機を救う!?
今やすっかり落ちぶれた、往年の人気TVシリーズ「ギャラクシー★クエスト」の俳優たち。彼らは、番組を事実と勘違いした宇宙人に請われ、凶暴な侵略者と戦うはめになる。2000年にSFファンの投票で選出されるヒューゴー賞を受賞
監督/ディーン・パリソット
出演/ティム・アレン シガニー・ウィーバー アラン・リックマン
DVD/パラマウント

 

<PROFILE>
くろきはる
1990年3月14日、大阪府生まれ。NODA・MAP番外編「表に出ろいっ!」(’10)で本格デビュー。「小さいおうち」(’14)で第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。NHK連続テレビ小説「花子とアン」が放送中の他、WOWOWの連続ドラマW「グーグーだって猫である」(10月18日放送開始)、映画「繕い裁つ人」(’15年1月公開)、「ソロモンの偽証」(’15年春公開)が控える
最新情報は公式サイトへ http://www.tokyo24.jp/artist/kuroki/

取材・文/平田真人 撮影/石川信介 スタイリスト/井伊百合子 ヘアメイク/北一騎