設楽統のこの映画にしたら? Vol.30「ハイネケン誘拐の代償」
2016年2月14日

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大金を手にするか大勢の友人を持つか? 深いテーマです

――今回は、実際の事件を映画化したクライム・サスペンス「ハイネケン誘拐の代償」。少々地味?な今作品を選んだ、そのココロは?

いや、とても良かった! 大富豪を誘拐したら、犯人より人質のほうが一枚上手だったというお話。昔、バナナマンも誘拐がテーマのコントをやったことがあります。僕が誘拐されて、日村(勇紀)さんが誘拐犯を演じるんですが、この犯人がどうしようもなくバカで。身代金が安すぎるとかね(笑)。その後、「30minutes」っていうテレビドラマでもやったんですけど。「太陽を盗んだ男」(’79)や「トゥルー・ロマンス」(’93)など、いろんな映画に影響を受けて作ったネタです。

――設楽さんから見て、誘拐犯たちの姿はどう映りましたか?

バカじゃないんだけど、頭が良くもない。でも計画的なところもあったり……。5人が“うっかり犯罪に手を染めちゃった感じ”は、とてもリアリティがありました。劇中、5人は遊びの延長線上で犯罪を企てるんですけど、スゴいなと思ったのは、素人の犯行だと見破られないように資金を捻出すべく、銀行強盗を成功させちゃうんですよ。お金を手にしたならそこでやめておけば良かったのに!

でもその後、完全防音の監禁部屋を作ったりと、ハイネケンを誘拐するまでは計画が順調に進みます。それぞれ技術と頭脳はあるのに、一方で、指紋の付いた脅迫状の原本をコピー機に置き忘れたりとボロもたくさん出てきて……。僕も思ったんですよ、こういうミスするだろうなって(笑)。

――実際の事件と言えば、設楽さんは「奇跡体験!アンビリーバボー」(フジテレビ系)で実録ドラマをよくご覧になっていますよね。

はい。「~アンビリーバボー」の再現ドラマも、担当ディレクターさんたちの色が出ていて、映画とドラマの中間という感じでVTRがおもしろいんですよね。この映画もスピード感があって、コンパクトにまとまっているなと思いました。

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――警察側の視点が一切描かれていないのも面白いですよね。

だからですかね、自分も一味に加わっているような感覚に陥ったし、真綿で首を締められるように僕も追いつめられていきました。5人が一日の終わりに解散し、日常に戻る描写がありますが、僕もそのタイミングで一時停止して達成感を感じながら休憩したりして(笑)。BD&DVDならではの楽しみ方ですね。

――誘拐犯たちを翻弄する大富豪ハイネケンを演じたのは、名優アンソニー・ホプキンスです。

やっぱり、スゴ味がありますよね。個室で身動きが取れない状態なのに、すべてを見透かすような言動で相手を翻弄する姿が「羊たちの沈黙」(’91)のレクター博士を彷佛とさせます。のっけから“してやられるぞ”っていう不穏な雰囲気で、犯人たちを心理的に揺さぶっていくんです。

――誘拐されたのにも関わらず、ワガママ言い放題で。

ホントに(笑)。でも、僕が印象に残っているのは、ハイネケンが犯人グループに言う「裕福には2通りある。大金を手にするか、大勢の友人を持つか。両方持つことはできない」というセリフ。大金持ちだからこそ知り得た“真実”なんでしょうね。

――お金と友情、どちらが幸せなんでしょう?

ハイネケンから見た犯人たちは、お金はないけど仲間には恵まれている。片や自分は孤独なお金持ち。きっと若者の友情に憧れのような気持ちもあったんじゃないかなと思うんですよね。その対比が物語を加速させ、やがてハイネケンの言葉通りに5人の友情に亀裂が生じる展開が切ないです。結局、誘拐なんてうまくいかないし、それが“代償”というタイトルにもつながってくるんでしょうけど。「お金と友情、どちらが幸せか?」という人生訓が詰まった映画。深い! 深いです。忘年会でハイネケンを飲みながら「『ハイネケン 誘拐の代償』知ってる?」って自慢できる作品。地味な作品だけど、知っていると、映画通を気取れると思いますよ。

――最後に、今回の作品を誰に見せたいですか?

とにかく明るい安村に見せたいですね。一気にブレイクしてお金も手にした彼。お金か、それとも昔からの仲間か。運命に分かれ道にきていると思います。さて、“安心”できますかね?(笑)


■今月の一本
「ハイネケン誘拐の代償」

1993年にオランダで実際に起きた、世界的ビール企業ハイネケンの経営者誘拐事件を映画化。共同経営している会社が倒産寸前に追い込まれた幼馴染み5人組が、大富豪ハイネケンを誘拐。莫大な身代金を手にし、計画は順調に進んでいるかに思えたが、人質であるハイネケンの傲慢な言動に翻弄されていく。

監督/ダニエル・アルフレッドソン 
原作/ピーター・R・デ・ブリーズ
脚本/ウィリアム・ブルックフィールド
出演/ジム・スタージェス サム・ワーシントン アンソニー・ホプキンス

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とバナナマン結成。「ノンストップ!」で司会を務めるほか、「そんなバカなマン」(共にフジテレビ系)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)、「クレイジージャーニー」、「教えて!ココロくん」(ともにTBS系)などに出演。

■バナナマンinformation
NHK「第66回紅白歌合戦」の副音声「紅白ウラトークチャンネル」の司会を2年連続で務めた。「素直すぎる感想、自由すぎるコメント」がおもしろい!と2015年末も大盛り上がりだった!

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撮影/諸永恒夫