サイモン・ペッグ&ニック・フロスト、グレッグ・モットーラ
スペシャル・インタビュー

「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」、「ショーン・オブ・ザ・デッド」といった過去作への愛情あふれる良作コメディでコンビを組んできたペッグとフロスト。今回2人が主演と脚本を務めた「宇宙人ポール」は、「E.T.」や「未知との遭遇」など巨匠スピルバーグの名作へのオマージュが散りばめられたSFコメディ。2人がこれまで組んできたエドガー・ライト監督の代わりを務めたのは、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のグレッグ・モットーラ監督。12月23日からの公開に先駆けて、本作にいかに取り組んだかを3人が語ったインタビューを掲載!

サイモン・ペッグ&ニック・フロスト

―『宇宙人ポール』の企画の発端は?

サイモン・ペッグ(以下サイモン)「『ショーン・オブ・ザ・デッド』の撮影の合間、プロデューサーのニラ・パークから"次はどんな映画をやりたいか"と尋ねられて、ニックといろんな意見を出し合ったんだけど、その中に"漫画オタクのイギリス人が、アメリカ横断のロード・トリップの途中、本物のエイリアンに出くわす"という話が持ち上がった。僕らの間では"このバカバカしいアイデアをいつか実現できたらいいな"と酒場で盛り上がる夢物語程度のものだったんだけど、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』の撮影の終わり頃、再びニラから"ファーストシーンだけでも(脚本を)書いてみない?"と持ちかけられて。その瞬間から『宇宙人ポール』がスタートしたのさ」

―初めての共同脚本はいかがでしたか?

サイモン「執筆前、実際にRV車に乗ってニックとアメリカ西部へロード・トリップに出かけたんだ。そして劇中と同じように二人組のおっかない男たちに絡まれたり、フロントガラスに鳥がぶつかるという出来事に遭遇したりした。自分たちが旅の中で体験したことを脚本に織り込んでいったんだ」
ニック・フロスト(以下ニック)「旅が終わった後、エイリアンとロード・トリップについての映画を50本以上見て、アイデアを膨らませていった。それから僕らは互いに向かい合って座り、脚本を書き始めた。もちろん、すごい言い争いをしたこともあったよ! ささいなことからケンカが始まり、口もききたくないというくらいの冷却期間を挟んだこともあった。まあ結局は、どちらかが冗談を言って、ケンカしていたことを忘れちゃうんだけど(笑)」

―グレアム&クライブのキャラはどう作っていたのですか?

サイモン「彼らは、これまで演じてきた中でもっともオタク度が高い。だから僕たちが持つ熱烈にマニアな要素、そして超常現象に対する興味を役に投影した。あと、ニックと僕の友情関係をキャラクター設定に混ぜ込んだ」
ニック「最初はグレアムとクライブはもっとオタクっぽかった。でもそういうのはやめて、"彼らはいつもふたり一緒に行動する"という関係性の部分を強めた。つまりオタク的なところではなく、僕らのような強い友情をキャラクターの芯にしたのさ。ふたりがキャンプファイヤーの周りをダンスする場面のト書きに、"グレアムとクライブがこういう感じで一緒にダンスしたのは、今までなかったことだ"と書いてあったのを読んだときは、"そう、その通り!"と思ったよ」

―グレッグ・モットーラを監督に抜擢した理由は?

サイモン「本格的に『宇宙人ポール』の話が動き出したとき、まず"誰に監督を頼むか"という難題にぶつかった。なぜならエドガー・ライトは、すでに『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』の監督が決まっていて、身動きが取れなかったからね。そんなとき『スーパーバッド 童貞ウォーズ』を試写で見たんだ。グレッグ・モットーラはインディー映画をメインストリームなものに昇華させる才能があり、しかも軽いタッチで、多くの観客を楽しませることができる。"彼は『宇宙人ポール』にとって理想的な人だ"と思ったよ!」

グレッグ・モットーラ監督

―サイモン&ニックとのコラボレーションはいかがでしたか?

グレッグ・モットーラ(以下グレッグ)「ふたりがエドガー・ライトと組んだ作品はとても素晴らしかったから、気後れする部分もちょっとあったんだ。ただ、僕はサイモン・ペッグ、ニック・フロストの大ファン。『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』、『ショーン・オブ・ザ・デッド』、『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』も大好き。ニックとサイモンはこれまでスマートで興味深いキャラクターをつくり出してきたし、彼らには特別な相性のよさがあって、見ているだけで限りなく楽しめる。ふたりと仕事をするという機会は何ものにも代えがたい魅力がある。だからエージェントから電話をもらって、すぐにサイモンとミーティングの場を設けたよ。何とその日は、僕が撮った『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の公開日だったんだよ! それから6ヶ月後、『宇宙人ポール』の脚本を受け取った。『ショーン・オブ・ザ・デッド』はゾンビを描き、『ホット・ファズ』はアクション映画を描いたものであるように、『宇宙人ポール』は総体的に70年代後半のSF映画とサイエンス・フィクションというジャンルにオマージュを捧げたものだ。それは圧倒的なノスタルジアを感じさせた。彼らはSFというジャンルのファンとして、内面からこれについて書いたんだ」

―ポールに命を吹き込むのに苦労したのでは?

グレッグ「CGであるポールを、生身のエイリアンのように見せる作業は本当に大変だった。特に目は、観客に"生きている"と思わせなければいけない。ポールはロジャー・ラビットじゃない。現実の世界にマンガがはめこまれている、と言う違和感を抱かせてはダメ。グレアム、クライヴと同じような"重さ"を観客に感じさせ、そして特殊効果のことを意識しないでくれればと思う」

―"スピルバーグとの遭遇"はいかがでしたか?

グレッグ「身もすくむような経験だったよ(笑)。何たって、あのスティーヴン・スピルバーグがカメオ出演してくれたんだからさ! 僕は"アクション!"と叫ぶことすら忘れてしまった。すると彼が僕にこう言ってくれたんだ。"(演技を)始めてもいいかな?"ってね。 ただ、演出の方向性について尋ねてくれたし、演技上の注意点もしっかり受け入れてくれたおかげで、僕は監督としてプロフェッショナルな振る舞いを取り戻すことができた。そしてこう思ったよ、"僕は確かにスティーヴン・スピルバーグを演出したんだ"と(笑)。いつか伝記を執筆する機会があれば、間違いなくこのエピソードを入れるね!  『宇宙人ポール』を作る中で、自分が初めて『未知との遭遇』、『E.T.』を見たときどんな風に感じたかに再び思いを巡らせ、それらの映画がどれほど素晴らしいかを改めて認識することができた。その懐かしい甘美さと不思議さの幾分かを、『宇宙人ポール』から感じてもらえれば嬉しい」

プロフィール

サイモン・ペッグ

1970年、英グロスター生まれ。映画評論家やファンの署名運動によって公開されたエドガー・ライト監督作「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」でブレイク。「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密」、「ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル」などの話題作への出演が続いている。

ニック・フロスト

1972年、英エセックス生まれ。もともとはレストランのウェイターをしていたが、親友のサイモン・ペッグがドラマ「SPACED 俺たちルームシェアリング」に出演するにあたって彼も便乗して俳優デビュー。その後、「ホット・ファズ〜」「ショーン〜」でもペッグと共演し、イギリス屈指のコメディ俳優に成長。

グレッグ・モットーラ

1964年、米ニューヨーク出身。'07年、長編2作目となる「スーパーバッド 童貞ウォーズ」が全米の週間興行収入初登場1位にランクインし、興収4週目で1億ドルを突破する大ヒットとなった。'09年、「ソーシャル・ネットワーク」のジェシー・アイゼンバーグ主演作「アドベンチャーランドへようこそ」で、青春映画の旗手としての地位を確立した。

「宇宙人ボール」

12月23日(金)公開
アステア、パルコ配給

アメリカ版コミケ、通称"コミコン"に参加するため、イギリスからやってきたオタク2人組、グレアムとクレイブ。その帰りの道中、長年の夢だったUFOスポット巡りの旅をしている途中、前を走っている車がクラッシュ! 中から出てきたのはポールと名乗る正真正銘の宇宙人だった。楽しい休暇旅行のハズが、ポールを宇宙へと帰すための大冒険へと発展してしまう。

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