「ウォール・ストリート」
マイケル・ダグラス&シャイア・ラブーフ インタビュー

ゴードン・ゲッコーがウォール街に帰ってくる― マイケル・ダグラスにアカデミー賞主演男優賞をもたらしたオリバー・ストーン監督の社会派エンターテインメント「ウォール街」の23年ぶりの続編が2月4日(金)に公開。刑期を終え出所してきたカリスマ投資家ゴードン・ゲッコーに再び扮したダグラスと、理想を抱く若き投資家でゲッコーの娘の婚約者であるジェイコブ・ムーアを演じたシャイア・ラブーフが、役づくりや監督との仕事について語った。

マイケル・ダグラス(ゴードン・ゲッコー役)

―これほどのアイコンであるゴードン・ゲッコー役に戻るのはどんなお気持ちですか?

マイケル・ダグラス(以下ダグラス)「とても前向きです。こうして戻ると、23年前、オリジナル映画を作った時を振り返らないではいられません。『ウォール街』は私のキャリアにとって、非常に大切な映画でした。オスカーを受賞し、すぐ後に、『危険な情事』が公開されました。『ウォール街』は私の俳優としてのキャリアの転機となりました。この映画より前は、私は製作者としてのほうが有名でした。この新作、『ウォール・ストリート』でゴードン・ゲッコー役に戻ることは、世界市場の経済に起こったことを考えると、歴史的におもしろみがあります。これが何を意味するか、考えさせられます」

―あなたが演じたのは悪役でしたが、金融界で働く多くの若者たちはゲッコーを尊敬しました。彼をほとんど崇拝していました。これは意外でしたか?

ダグラス「『ウォール街』を見て、私(ゲッコー)から影響を受け、インスパイアされて投資銀行のビジネスに入ったと多くの人から言われるたびに、私はショックを受けていました。そういう人たちには、"でも、私は悪役だったから"と言うと、彼らは、"いいえ、違いますよ"と言うんです。彼らは悪役としては見ておらず、とても魅力的に見えたようです」

―あなたは『ウォール街』の演技でオスカーを受賞されました。あの授賞式の夜で一番良い思い出は?

ダグラス「あの夜は私にとって大きな意味がありました。カーク・ダグラスの息子、ハリウッドの2代目として、父の影になって何年も過ごすのは大変でした。ですから、やっと同僚の俳優たちに認められるというのは、すばらしいことでした。私は仲間たちの寛大さに感激しました。推測ですが、2代目というのはビジネス面ではずっと容易で、人生をどう送るかという点では楽ですが、自分の個性を生みだすという点で、ちょっと大変です。それで、あの受賞は私にとっては仕事面で、人生最大の瞬間でしたし、あのおかげで自分自身として堂々とできるようになりました」

―この何年もの間に、あなたとオリバー・ストーンとの関係は変わりましたか?

ダグラス「変わりましたね。というよりは、私が以前とはかなり違う立場にいるからです。今は彼の悪態に前よりもずっとうまく対処できますよ(笑)。彼はタフで、とても才能がある人です。彼は役者に敬意を払ってくれますが、でも、手ごわいことは間違いありません。ベトナム戦争に従軍した経験が大きな影響を与えていると思いますが、つまり、彼はみんな一緒に塹壕に入って、自分とおなじぐらいハードに仕事をしてもらいたいという気持ちなんです。彼は塹壕にいる人を全員信じたいと思っています。前の映画の時は、私はもっと簡単にオリバーに怖気づかされていたでしょうが、今回は、彼は声を大きく響かせるような反響板が必要だろうと思います。彼と複数の映画で組んだことがある俳優は(共演の)ジョシュ(・ブローリン)と私だけでしょうし、彼が与えるのと同じぐらい応じられるのも我々だけです。我々は彼にとって捕捉し合える相手です」

―それはおもしろそうですね。

ダグラス「確かに。私は同じ監督と2度組んだことはほとんどありません。でも一度組んだ監督であれば、その人の行動はよくわかります。私は大きく変わったと思います。初めてオリバーとこの役に挑んだ時よりも、ずっと自信をつけているでしょう。でも、彼は相変わらずのオリバーで、今でも他の誰よりも力いっぱい、長い時間、仕事をやってのけます。彼はいまだにすばらしい目と耳を持っています。彼はいろいろなことをやるのに時間をかけるので、私は時々、気が狂いそうになります(笑)。でも、同時に、彼が見ているディテールや何ひとつ聞き逃さないところには驚かされています」


―第1作では、"欲は善である"や"どれだけ儲ければ気が済むのか?"、といった文化的試金石になったようなすばらしいキャッチ・フレーズがあります。今度の脚本には印象的なフレーズがありますか?

ダグラス「確かにいいのがありましたね。"友達がほしければ、犬を飼え"とか(笑)。今回はわかりませんよ。そうなってみるまで、どんな言葉が人々の記憶に残るかわからないからです。映画を撮影している時にそういうフレーズを言い、確かに印象的なフレーズかもしれませんが、でも、第一作を作っている時には、私はそれらの台詞を言いながら、"ああ、これはきっとウケるぞ"と思ったわけじゃないんです。どうなるかはわからないものです」

―金融界についてのリサーチはどれぐらい必要でしたか?

ダグラス「この映画のリサーチ中に、マーサ・スチュワート(米のカリスマ主婦)のパートナーだったサム・ワクサル(米バイオ企業イムクローン・システムズの元CEO)とミーティングをしました。彼はとても寛大でした。彼は2003年に刑務所に入り、5年間、服役しました(判決は7年)が、彼はその経験について話してくれました。他にも2、3人と会いましたが、私のリサーチはシャイアがやったほどではありません。この映画の彼ほど徹底した役作りをする人を私は知りません。彼は映画がスタートする前に、この世界に深くかかわるために多くの時間をかけました。彼は実際、自分でいくつかのファンドを始め、しかもかなり順調にやっています。でも、私にはウォール街に何人か友人がいます。ニューヨーク出身ですから。それで、私には多少、この題材は容易だったかもしれません。少なくとも、どういう仕組みか、表面上のことは知っていますから」

―第一作を作られた時に、ゴードン・ゲッコーがこれほどのアイコンとなると思いましたか?

ダグラス「ゲッコーが、あの時代の文化とビジネスを表し、こういう代表するような役として生き続けるとはまったく思いませんでした。つまり、答えはノーですが、でもこの役がとてもうまく描かれていることはわかっていました。それでも、"欲は善である"のような特定の台詞が長く存続するとは思っていませんでした。いくつかの台詞が、私について回るようになるとはね(笑)。ウォール街で働いている人たちは、いまだにゴードン・ゲッコーを尊敬しています。彼は教祖的存在のようになっています。あの役のことは、人が一番よく引き合いにだしますし、それにはいつも驚かされています。人は彼の言葉や服装に迷わされたんだと思います。エレン・マイロニック(衣装デザイナー)はその点で高く評価されるべきです。彼女は第一作に取り組み、私が着ていたあの縦縞のシャツやサスペンダーというトレンドをスタートさせました。彼女はこの新作も手がけています。『ウォール街』は、我々の文化の非常に魅力に満ちた時代の一瞬をとらえました。うまくいって、この映画でも時代の別の瞬間をとらえることになればいいと思います」

シャイア・ラブーフ(ジェイコブ・ムーア役)

―あなたが演じたジェイコブ・ムーアはどんな人物ですか?

シャイア・ラブーフ(以下ラブーフ)「彼は理想を追う私設取引のトレーダーで、中程度から大規模のヘッジファンドを扱っています。彼の専門は、"先物"エネルギーで、これまでで最悪の金融危機を乗り越えようとしています。 彼は父親とほとんど一緒に過ごしたことがないために、一緒に仕事をしているウォール街のベテランたちから男としての影響を受けています。彼は映画のかなり初期の段階で、そういう模範となる人を失ってしまい、大きなショックを受け、別の男性指導者となる人を探しにいきます。そこで、ゴードン・ゲッコーがからんでくるんです」

―オリバー・ストーン監督と仕事をしてどうですか?

ラブーフ「彼は僕が組んだ中でも最高の監督の一人です。彼は人の気持ちを理解してくれます。彼は傷つきやすく、人の意見を聞き入れ、話し合います。彼からはこうしなさいと言われることはないので、それは大きな違いを生みます。おかげで、リハーサルがすばらしいものになります。彼は、たとえば、"シャイアはどの椅子に座りたい?"と質問します。"君はそこに座ってくれ"という代わりに、彼はそういう言い方をするんです。彼は人の意見を聞き、思いやりがあります。彼の映画作りのスタイルは、僕が今まで組んだ他の監督とは違っています。他のタイプの映画だったら(ファンタジーなど)、監督はもっと指示を出す必要がありますが、オリバーのやり方だと、役者はもっと自由にやることができます」

―マイケル・ダグラスとの共演はどうですか?

ラブーフ「マイケルは大好きです。彼はとてもすばらしい人です。彼はよく手助けをしてくれ、映画にうまく引っ張りこんでくれます。彼は僕たちみんなにとても愛想がよく、元気づけてくれます。僕らはみんな、彼に会うことにかなりピリピリしていましたが、マイケルはとてもやさしく接してくれました。彼はベテランの役者で、本物のプロです。彼との共演はとても楽しいです」

―この映画に出演することになったとき、金融についてどれぐらい知識がありましたか?

ラブーフ「何一つ知りませんでした。最初から全部、勉強しなければなりませんでした。僕はオリバーがこの映画を作ると知って、ロサンゼルスで監督とミーティングすることになっていました。そのミーティングの3、4日前に、ショワブ(投資サービス会社)に行って、このビジネスと取引についてできるだけわかるようにすべてを説明してほしいと頼みました。僕は2万ドルで口座を開き、取引を始めました。それから、シリーズ7テスト(米国証券外務員資格試験)を受けてブローカー・ディーラー資格を取得し、いろいろなヘッジファンドや取引を始めました。今の口座価値は、30万ドルですが、2カ月半でそうなりました」

―それはすごいですね。それでは、あなたはこういう取引で暮らしているトレーダーたちが味わう興奮を理解できましたか?

ラブーフ「はい、目がくらむような気持ちです。僕は貧しい生まれで母は生活保護を受けていました。でも今は朝起きると30万ドル近い取引をしている。本当にどうかしています。この映画での経験すべてがクラクラするようです。オリバー・ストーンは現役最高の監督の一人です。ジョシュ・ブローリンがこのセットにいますが、彼にもおどろかされます。この映画のそういう要素を組み合わせると、僕は雲に乗って浮かんでいるような気持ちになります」

―金融界についてどんなことが分かりましたか?

ラブーフ「ウォール街でよく出会うのは、高校時代にスポーツのチームに入れずに金融を始め、そこで競争心を燃やし続けているような人たちです。こういう人たちの多くが、競争好きな運動選手になりたいと思いながら、同じぐらい競争好きな金融界に入っています。ここにあるのは、"殺すか、殺されるか"という心理です。それは、私設取引トレーダーの多くにとって言えることですが、なぜなら、彼らの仕事では本質的に、自分の資金かあるいは会社の資金を取引しているからです。クライアントのために取引をするのとは違います。"獲ったものを食う"という考え方です。これはハリウッドよりもひどいです。本当に共食いの世界ですから」

プロフィール

マイケル・ダグラス

1944年、米ニュージャージー州生まれ。60年代末から映画、TVドラマに出演。'75年に父親から映画化権を購入した「カッコーの巣の上で」をプロデュース。同作品はアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚色賞、主演男優賞、主演女優賞の5部門を制した。'87年の「ウォール街」のゴードン・ゲッコー役で絶賛され、アカデミー賞主演男優賞とゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞。主な出演作は「コーラスライン」('85)、「危険な情事」('87)、「氷の微笑」('92)、「フォーリング・ダウン」('93)、「ザ・センチネル 陰謀の星条旗」('06)など

シャイア・ラブーフ

1986年、米カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。地元のコーヒーショップにスタンダップ・コメディアンとして立ったことからキャリアをスタートさせる。シガニー・ウィーバー共演のアドベンチャー・コメディ「穴 HOLES」('03)で長編映画デビュー。マイケル・ベイ監督のアクション大作「トランスフォーマー」('07)でブレイクし、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」('08)ではインディの息子マットを熱演した。「トランスフォーマー ダーク・オブ・ザ・ムーン」が7月29日日本公開

「ウォール・ストリート」 

2月4日(金)公開/20世紀フォックス配給

インサイダー取引の罪で服役していたウォール街の伝説の人物、ゴードン・ゲッコーが出所してから7年。彼は金融界の行き過ぎた拝金体質を糾弾する著書で話題を集めていた。一方、ゲッコーの娘、ウィニーと交際するジェイコブは、勤務する銀行が突然の経営破たんに見舞われ、失意の中、ゲッコーの講演に足を運び、彼にある取引を申し出る

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