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  • まさに“ハエ版「ゴースト」”。
    小さくたって奇跡は起こせる!と勇気がもらえます

  • 2026.04.14

 

■今月の一本
「マッキー」

 

■見せたい相手
アイドルおたくの人

 


「マッキー」
小さなハエが人間と闘うという奇抜なストーリーがウケ、本国インドはもちろん、アメリカやイギリスでも大ヒットしたアクション。「ロボット」のVFXチームが再び集結し、インド映画史上最多の2234カットものVFXで、CGのハエと実写との融合をみごとに実現した。ちなみにマッキーはヒンドゥー語でハエを指す
監督・原作・脚本/S・S・ラージャマウリ
出演/スディープ ナーニ サマンサ・ルス・プラ
DVD/KADOKAWA 角川書店

みなさん、インド映画ってどんなイメージですか? 「長い」とか「歌って踊る映画」とか「コアな映画好きしか見ないもの」って言う人、多いんじゃないかなと。僕も何作品か見ていますが、そもそもインド映画って宗教上の理由からラブ・シーンがNGなんですよね。その代わりにダンスで恋愛を表現しているということみたいですけど、やっぱりどこか物足りなくて、つまらないとさえ思ってました。でもね、「マッキー」はおもしろかった! もっと言えば、ナメて見るとさらにおもしろく感じるだろうし、ようやく普通の人が楽しめるインド映画が出てきたと思いました。

 

悪徳実業家で恋敵でもあるスディープに殺された男ジャニがハエに生まれ変わって愛する女性ビンドゥを守り、犯人に復讐するお話。最初は、なんでハエ!?と思うんです。ハエが主役の映画といえば「ザ・フライ」がありますけど、あれは“ハエ男”なる怪物でしたよね。今回はハエそのものになっちゃう。こんな奇想天外なアイデアによく製作費が出たなと。さすがは映画大国インド!

 

でもね、「ハエじゃ何もできないじゃん」っていう心配は要りません。ブンブン飛び回って犯人を睡眠不足に陥らせるのは序の口で、車の運転をジャマして交通事故まで引き起こしちゃう。綿棒をダンベル代わりに筋トレして、重いものだって運べるようになります。次の一手は何だろう?とワクワクするし、コメディだけど不条理ではないというか、つじつまが合うように話が練られている。どこかコントのつくり方と似ているなと思いました。キャラと設定を決めて、話の展開を考えながらおもしろいネタを散りばめていく感じがね。とにかくミョーなリアリティがあるので、こっちも感情移入しちゃって、最後は「頑張れ!」と応援してる自分がいましたよ。相手はハエなのに(笑)。

 

一方、スディープもしぶとい男でね。なかなか死なないんです。超イヤな男なんだけど、ハエにトドメを刺せない、ちょっとニクめないところもあって、単なる悪役とは違うキャラクターでしたね。ハエの攻撃によって精神的にも肉体的にもブッ壊れていく感じが笑えました。

 

そんなコミカルな復讐劇も見どころなんですが、ハエとヒロインのラブ・ストーリーからも目が離せません。ジャニからしたら、2年間ず~っと片思いしてきたビンドゥとようやく心が通じ合ったと思ったら殺されちゃうなんて死んでも死にきれないですよね。しかも生まれ変わったのがハエだからことばは話せないし、エロいことだってできやしない。それでも彼女を愛し抜く!って、究極の純愛じゃないですか。日本でも悪い男のことを“悪い虫”なんて呼びますけど、そんな悪い虫をみずから虫=ハエとなって防ぐ…。なんて切ない話なんでしょうか(笑)。でも努力の結果、ハエになった事実をビンドゥがアッサリ受け入れてくれて、最後は意思疎通もできちゃうんだから愛の力は偉大です。いわば“ハエ版「ゴースト ニューヨークの幻」”ですよね。

 

そんなハエの奮闘劇は、微力ながらも好きなアイドルを応援し続けるおたくの人に響くんじゃないかな。生前のジャニにとってビンドゥはアイドルみたいな存在だったわけで。ハエになったって奇跡は起こせて、最後は愛する人に思いが届くんだと勇気がもらえるはず。もしかしたら監督もソッチ側の人なんじゃないかと思うぐらい、よくできている話だと思いました。

 

でもあえてツッコませてもらうと、ビンドゥからしたら、この先ず~っとハエにまとわりつかれたら一生他の人と恋愛できないじゃん…と少し心配になりました(笑)。それにこのハエ、ピュアすぎるんです。僕なら真っ先に彼女の入浴シーンをのぞくけどなぁ。

 

ちなみに自分が生まれ変わるなら絶対にハエはイヤです! 嫌われるし寿命も長くないだろうし。しいてあげるならイヌかな。家でもジーッとして大きなイヌみたいですから。意外にうまくやっていけるかもしれません(笑)。

 

■プロフィール
1973年、埼玉県出身。’93年に日村勇紀とお笑いコンビ、バナナマンを結成。俳優の仕事も多く、「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」(’10)で映画初主演。現在、フジテレビ系「ノンストップ!」の司会を務める

 

■バナナマンinformation
出題された問題が日常生活で”使える”かどうかをバナナマンらがジャッジする新番組「ツカエル!Q極の問題」(関西テレビ)のほか、有名人の人生における重大な決断に迫る「決断までのカウントダウン」(フジテレビ系)が4月よりスタートし、好評放送中!

 

©M / s. VARAHI CHARANA CHITRAM

撮影/諸永恒夫