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  • 仕事とは、そして生きるとは…
    今回はマジメに語ります!

  • 2025.11.07

 

■今月の一本
舟を編む

 

■見せたい相手
テレビ東京志望の就活生および新入社員

 


「舟を編む」
三浦しをんのベストセラー小説を松田龍平&宮﨑あおいの主演で映画化した人間ドラマ。出版社の辞書編集部を舞台に、24万語収録の新たな辞書を、気の遠くなるような年月をかけてつくり上げていく編集部員たちの姿をつづる。来年3月に発表される第86回米国アカデミー賞外国語映画部門の日本代表作品に選ばれた。
監督/石井裕也
原作/三浦しをん
出演/松田龍平 宮﨑あおい オダギリジョー 黒木華 渡辺美佐子
DVD&ブルーレイ/アスミック・エース

これはもう、親指を立てちゃいますね。アウト~じゃないですよ。サムズアップ。いやあ、おもしろかった。簡単に言うと「辞書をつくる」だけの話なのに、恋愛もあるし、ヒューマンドラマもあるし、仕事とは、生きるとは何ぞや、っていうグッとくるテーマも入っている。とにかく多彩な要素がうまくギュッと凝縮されていて、久しぶりに「素敵な邦画を見たな」って感じましたね。

 

タイトルの「舟を編む」について調べてみると、舟は大海を漂うもので、つまりは「言葉の海を渡っていく舟」を指すんですね。で、それを編むのが編集者の仕事。辞書づくりに励む主人公を演じた松田龍平さんがすばらしいです。名字が“馬締”で、その名のとおりにマジメな男。辞書を編纂する部署に配属されたからよかったものの、他の編集部ではポンコツだったでしょうね(笑)。イイ味、出しまくってます。彼を取り巻くメンバーも、宮﨑あおいさん、黒木華さん、オダギリジョーさん…みんないい!

 

実は、監督を知らないまま見たんですが、エンドクレジットで「石井裕也」と出てきて「そうだったのか!」と。以前、テレビ東京の「シネ通!」って映画情報番組の司会をやらせてもらっていたとき、ゲストとして来られて話したことがあったんですよ。「川の底からこんにちは」(’09)はその年の邦画でいちばん好きでした。主演の満島ひかりさんも最高で、後におふたりはご結婚されたんですよね。満島さんは感情を爆発させる主人公で、今回の松田さんは真逆のキャラなんですけど、人間の掘り下げ方がどちらも本当にうまいんです。

 

昔はね、どの家にも一冊は分厚い辞書があったものです。小中学校の卒業式でよく、プレゼントされたんですよね、父母会から。当時はなんとなくもらったままで、あまり使っていなかったんだけど、要は生きていく上で大切な言葉が詰まっているもの。未来を築くために「わからない言葉があったら辞書を引け」という意味が込められていたんだなって、遅ればせながらわかりました。

 

この映画はですね、すでに就職に内定が出た人も、今も活動中の人も、全員に見てもらいたい。特に“製作委員会”に名を連ね、作品をバックアップしたテレ東志望の方々、はたまた新入社員のみなさんは絶対に見ておかないと! やっぱりね、モノづくりの基本というか姿勢を学ぶことができますから。それも説教臭くなく。大きな意味での“人生の指針”を与えてもらえるんですよ~。

 

驚いたのは、ひとつの辞書を完成させるには10数年もかかっちゃうんですね。つまり、日々の作業の結果はすぐには出ないんです。辞書づくりとまったく同じではないけれども、僕らお笑いの仕事においても、大きな目標のために積み重ねているものの大切さってあって。ちょっとシミジミしちゃいました。ホント、仕事っていろんな人の協力と助けが必要で…って、えらくマジメに語ってますねえ。いや、今回、改めて仕事について考えさせられたし、前向きになれたんです。’95年から物語が始まって、おのおのの人生、歳の取り方の描き分けも、すごく感慨深かった。

 

いよいよ辞書づくりが最終段階に入って、大学生のバイトも使って人海戦術になっていくんですが、もう大詰めでは泊まり込みで男はヒゲぼうぼう、見た目も気にせず座りながら寝ちゃったりして、あの感じが僕らのライブづくりの後半に似ているなあって。何かに没頭すると結局は「徹夜しないと間に合わない」状況になる。学生時代の学園祭なんかで、それに近いシチュエーションを経験した方もいるでしょうけれど、いい歳になってきたのに僕ら、いまだにそうで、なんか編集部員たちの姿にすごく共感できましたね。

 

にしても、誰だったか忘れましたが、「辞書っておもしろいよね」的なことを言う人がいて、正直そのときは「何言ってんだか、うまいもん食い過ぎちゃって、とうとう『自然の木の芽が究極は旨い』に行き着いたか」みたいな、いろんな書物を読み尽くして、そんなことを言ってるんだと思ったんですが、この映画を見たら本当に辞書はおもしろい。“右”を説明するのに「西を向いたとき、北にあたるほうが右」とか語釈ってトンチが効いてるんですよ。“恋”の語釈を巡るエピソードがまたグッときて。劇中に出てくる辞書は「大渡海」っていうんですけど、あれ発売しないのかな。欲しい! もうね、現実とフィクションが混ざっちゃうほど、それぐらい気に入ってます。

 

■プロフィール
1973年、埼玉県出身。’93年に日村勇紀とお笑いコンビ、バナナマンを結成。俳優の仕事も多く、「裁判長! ここは懲役4年でどうすか」(’10)で映画初主演。現在、フジテレビ系「ノンストップ!」の司会を務める

 

■バナナマンinformation
テレビ東京の人気バラエティ「ゴッドタン」の名物企画の劇場版「ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE」が11月20日にDVD&ブルーレイ化。フリートーク&ノープランロケ企画を収録した「バナナ炎炎 炎の大炎上セレクション」DVD-BOXは11月27日リリース!

 

©2013「舟を編む」製作委員会

撮影/諸永恒夫