スプラッターなファミリームービーだ!?
「片腕マシンガール」井口昇監督&穂花スペシャル対談

 「「片腕マシンガール」は動脈破裂の血しぶきとグラインドハウス映画の喜びが絶頂で合体した傑作である!」(ニューヨーク・タイムズ誌)
10年前から日本の新しい才能、ぶっ飛んでる映画(「殺し屋1」「VERSUS」など)をアメリカの観客に紹介することで、その存在を知られていた「メディアブラスターズ」、その北米ビデオメーカーのレーベル「TOKYO SHOCKシリーズ」による製作・第1弾として発表したのが「片腕マシンガール」である。監督・脚本は『恋する幼虫』『猫目小僧』などの鬼才・井口昇。主演はグラビアアイドルとして活躍する八代みなせ。可憐な女の子が復讐の鬼と化し、片腕にマシンガンを装着して闘うバイオレンス・アクションで、本作は予告編の段階 からインターネットで大反響を呼び、ニューヨークやカナダなどで公開されたのちに日本に逆輸入された。今回は劇中、サディスティックな悪役・木村スミレを演じた穂花と、井口監督との対談が実現したぞ。

この映画はMの人が見て、グっとくるシーンやキャラが満載だと思います(井口)

ー穂花さん、本作の脚本を読まれたときの感想は?

穂花 「もう『この作品はおもしろ過ぎる!』って。すぐに『やらせていただきます』と返事をしました」

井口 「穂花さんに演じていただいた悪役"スミレ"は、相手を威嚇するオーラみたいなものを持っていないと成立しない役で、佇まいや目ヂカラが素晴らしい穂花さんにピッタリだったんですね。主役の造形にも力は入りますが、同時に、悪役も魅力的にしたいんです。そうしないと、両者がぶつかったときの相乗効果が生まれませんから」

穂花 「何回見ても見飽きない映画ですよね。クセになる。血がドバドバーっと飛ぶたびに『また出た〜!』みたいな快感があって(笑)」

井口 「スプラッターといっても、ノリは漫画ですからね。リアルに人体を切っていくような陰惨なタッチではなく、劇画感覚でつくっているので、見やすい作品なんじゃないかな」

穂花 「相当見やすいと思います。私、『ソウ』シリーズが大好きなんですけど、同じ人体破壊描写でも、あのグロさとは全く違う、荒唐無稽な楽しさがありますよね」

井口 「ある意味、ファミリームービー」

穂花 「そうそう。ホント、そうですよ」

井口 「デートムービーのつもりで作ったんです。カップルが、ここでポップコーン食べる、ここでは肩組む、そしてここではワオ〜と叫ぶとか、そういう姿を想定しながら脚本を書きました。デート後にも、会話が弾むような映画にしたいなって」

ーヒロインの腕が、天ぷらになったりするのも漫画的でしたね。

穂花 「油でカラっと揚がって、笑えますよね」

井口 「以前、嫁姑バトルの映画の企画があって、あのアイディアを考えたんですが、企画がぽしゃってしまい、いつか使おうと。ナンセンスなことが好きなんですね。それと、「片腕マシンガール」は海外での公開が最初に決まっていて、プロデューサーから『外国人なら誰でもTEMPURAは分かるから』という助言があったのも大きかった」

ーそして、漫画的といえば、スミレの秘密兵器、鋼鉄のドリルブラ!

穂花 「あのドリル、最初は回り具合が悪いところがけっこうツボなんですよ。ゆっくりゆっくり、ぐりぐり〜っと動くところが」

井口 「バストショットのときはフルCGなんです。一回データをつくって、全部アニメートしているんです。主人公のマシンガンを回転するよう改良するか、ドリルブラをフルCGで回転させるか、限られた予算なので選択しなきゃならなかったんですが、躊躇せずに『ドリルブラでお願いします!』って。僕のこだわりが反映されているし、けっこう手間ヒマかかっているんですよね」

穂花 「ありがとうございます、私のブラのために。ドリルを出して、闘うシーンは私、大好きです。一番血しぶきを浴びたシーンでもあるので、忘れられません」

井口 「ドリルブラってね、装着する人によっては、めちゃくちゃ違和感を覚えさせると思うんですよ。あれをつけて"サマ"になり、なおかつカッコ良く見せるっていうのは、女優さんの中でもそうはいないんじゃないかな」

穂花 「自信をもって、付けていましたからね(笑)」

井口 「男って、自信たっぷりの女性には弱いんですよね。今回は、女性はひたすら強く、男は弱くっていうのが脚本を書くときの裏テーマだったんですけど」

ースミレがたびたび口にする、「詰めが甘いんだよ!」ってセリフがいいですね。

穂花 「男性の方は頭に残るみたいですね、何でなんでしょう?」

井口 「みんな、自分に置き換えるんですよ。穂花さんに言われているような気分で楽しんでいる」

穂花 「そんなに嬉しいセリフですか?」

井口 「実際には一番言われたくない言葉。言われたら、一日中、ヘコんで立ち直れないです。でもマゾ心を誘われる。言われたら傷つくけど、ちょっと言われてもみたい言葉で(笑)。この映画、Mの人が見て、グっとくるシーンやキャラが満載だと思います。スミレというキャラクターは、マゾ心のある男子からすれば、相当グっとくるキャラじゃないかなあ」

純愛なんて......信じてないですもん(穂花)

ー穂花さんの日本刀でのアクションシーンも印象的でした。

穂花 「じつはアクションは今回が初挑戦だったんです。でも、撮影の時期にいろんな仕事と重なってしまい、練習する時間があまりなかったんですよね。それが残念でした。もし次回、またアクションシーンのある役をいただけたら、とことんやりたいです」

井口 「それがちょっと意外だった。穂花さん、雰囲気的にもアクション女優ぽいから、経験済みのイメージがあったんですけど。『片腕マシンガール』以降もオファーはないですか?」

穂花 「アクションものはないですねえ」

井口 「みんな、見る目ないなあ。もっとアクションをお願いすればいいのに」

ーアクション映画は御覧になりますか?

穂花 「普通のアクション物は見ないけど、グロい描写のあるアクション映画は見ます。ただ単に撃たれたり爆発して人が死んだり、ではおもしろくないんです。もっと残虐で、恐怖感があって、心理的にもキリキリ痛めつけられないと...」

井口 「Sですねえ!」

穂花 「フフっ。だから『ソウ』を初めて見たときに、『こんな面白い作品、久しぶりに見た!』って感じたんでしょうね」

井口 「恋愛映画は?」

穂花 「観ますが、純愛ものは嫌いです」

井口 「ああ〜、やっぱりそうだと思いました」

穂花 「純愛なんて......信じてないですもん。『そんなのあるわけない、夢を見過ぎだろ』って思ってしまいますね」

ドリルブラ・ドットコムっていうファンサイトができて...(井口)

ー「片腕マシンガール」に話を戻しますと、本作は海外でも大評判になったそうで。

井口 「映画が完成して、予告編がYouTubeに流れて、海外でも注目されていったんですが、やっぱりドリルブラへの反響がすごかったんですよ。ドリルブラ・ドットコムっていうファンサイトができて、ドリルブラのカットをダウンロードし、Tシャツやキャップを30種類ほど、販売してるんですよ、勝手に(笑)。相当インパクトがあったんだなあって。結果的に、穂花さんのAV作品を購入しようとする海外の人も増えたんですよね?」

穂花 「そうなんです。日本語の分からない海外の方々が、ネットで『どうやって購入すればいいんだ?』って、日本のメーカーに問い合わせてくることが多くなったそうで」

井口 「どこの国からが多かったんですか?」

穂花 「アメリカです。他には、中国や韓国の方からも。海外からの問い合わせは前からたまにあったんですが、映画の公開以後、ぐんと増えましたね。私のブログにも海外からの書き込みが増えました。」

井口 「YouTubeでいろいろ検索していくと、アメリカに住む高校生の男の子が、自宅でこのDVDを見ながら、実況中継している映像があるんです。それがおかしくって。アメリカの、いわゆる学園モノとかに出てきそうな高校生の部屋のテレビに、穂花さんが映っているわけですよ。で、『オォ〜、ドリルブラ!』って叫んで喜んでくれている。日本で作っていると、海外でも見られている実感がそんなにないんですけど、あのYouTube映像は、『本当に海外でも楽しまれているんだなぁ...』としみじみ思いましたね」

ー最後に、井口監督に質問です。ドリルブラの発想の源とは?

井口 「何かインパクトのあるクライマックスにしたいなあと考えて、で、女性VS女性の戦いを見せたくて、主人公は片腕マシンガンじゃないですか。僕は永井豪さんのマンガやアニメで育った世代で、「マジンガーZ」の女性用ロボットがオッパイミサイルを発射したりするのを喜んで見ていたわけです(笑)。そんなこんなで「敵役のオッパイがマシンに、しかもドリルになったら最高だぞ!」って、なんか気がついたらドリルブラを脚本に登場させていましたね。最初はプロデューサーにバカにされましたけど(笑)。僕も造形物が完成するまでは、本当にできるとは思ってなかった。自分の妄想が、ドリルブラになったという感じなんですよね」

穂花 「面白いですよね、井口さんの頭の中を、一回のぞいてみたいですよ」

井口 「見たら愕然とするはず。『こんなクダラナイことばかりで脳味噌ができてるのか』って」

穂花 「そこがいいんじゃないですか!」

井口 「ありがとうございます!」

取材・文/轟夕起夫 写真/金刺文三夫

プロフィール

穂花

1983年鹿児島県出身。AV女優を2008年に引退後、現在、ドラマ、映画、バラエティーで活躍。年明けに出演作『特命係長・只野仁 シーズン4突入スペシャル』(テレビ朝日系)が放送を控えている。

井口昇

1969年東京都出身。AV業界で映像作家としてのキャリアをスタートさせる。一方で、劇団「大人計画」や竹中直人作品にて俳優としても活躍。主な監督作として、「恋する幼虫」、「猫目小僧」、など。

「片腕マシンガール」

バスケットボール部に所属する女子高生アミ(八代みなせ)は、明るいごく普通の女の子だった。唯一の肉親である弟をやくざの息子、翔(西原信裕)にイジメ殺されるまでは...。復讐に燃えたアミは翔がいるやくざ一家に単身乗り込むが、あえなく返り討ちにあい、左腕を切り落とされてしまう。命からがら逃げ出すことに成功し、同じく翔に息子を殺された杉原ミキ(亜紗美)にかくまってもらうことに。同じく復讐に燃えていたミキによって左腕に鋼鉄のマシンガンをさずかったアヤは再び立ち上がり、すべての恨みを晴らすべくやくざ一家に向かう!

指がとび、腕がとび、首がとび、おまけに体の一部がカラッと揚げられる人体破壊描写のすさまじさはもちろん、"ドリルブラ"を身につけた翔の母親、スミレ(穂花)をはじめとする恐ろしくもおかしいキャラたちも強烈な印象を放つ。

[販売]2026.1.23
[レンタル]2025.12.24
定価:4935円 97+特典

backnumber