
台北近郊の小さな町で便利屋をして暮らす純粋な青年が、都会から来た娘に淡い恋をした...。ロマンチックであたたかい青春映画「台北に舞う雪」で主人公のモウを演じたのが、台湾や日本だけでなくアジア中をまたにかけて活躍する若手俳優、ボーリンだ。

―(10月号の表紙を見せながら)「DVDでーた」です。よろしくお願いします。
チェン・ボーリン(以下ボーリン)(表紙の「ヤッターマン」のドロンジョ様を見て)「(日本語で)深田恭子ちゃん。覚えてます。この間来日したときに、事務所で取材受けてた恭子ちゃんに会って挨拶したんです」
―この恭子ちゃん、色っぽいですよね。
ボーリン「うん、色っぽいですよね」
―こっちは嵐の櫻井翔くん。
ボーリン「みんなマスクですね」
―そういう映画なんですよ。今日はインタビューよろしくお願いします。
ボーリン「よろしく」
―記者会見もありましたし、同じことを100回くらい聞かれているでしょ?
ボーリン「100回は行かない、90回くらいかな(笑)」
―今回の、中国のフォン・ジェンチイ監督との仕事はどうでした?
ボーリン「ジェンチイ監督は、これまで僕が仕事してきた中で一番やさしい監督でした。一度として声を荒げたことがなくて『大丈夫、もう1回ね』と。僕の演じたモウは若いときの監督なんじゃないかな」
―モウという役柄をどう解釈して演じたのですか?
ボーリン「モウはチントン(という町)を出たことがない。だから外の世界に好奇心があるんです。それを強調したいと思った。彼の物知らずだけど純粋、善良なところを描きたいと。彼がやってる(町の便利屋という)仕事は一種の現実逃避なんです。自分は何をどうしたらいいのかわからない、その焦燥感を出したいと思いました」
―素朴な田舎町での撮影は気持ち良くできましたか。
ボーリン「そうですね、一番大変だったのはラストシーン。消防車の泡を何回もかぶって、泡が目や鼻に入って大変だったですね」
―いい人ばっかり住んでる田舎町でしたが、あなた自身はどんな町に生まれてどんな人に囲まれて育ったんでしょう?
ボーリン「僕の1本目の映画(「藍色夏恋」)に出てきた公園を覚えてます? あの公園がすぐ近く。2人で自転車乗ってた、あの公園、(日本語で)その近くです」
―そうだったんですか。
ボーリン「(日本語で)ホントホント。あの映画のあの辺が僕の育ったところです」
―それはどこ?
ボーリン「台北の中心に近い住宅街です」
―台北生まれの台北っ子なんだ。都会っ子なんですね。
ボーリン「そうそう。えっ、シティボーイ?(大爆笑)」
―都会だと子供の頃、近所のおばさんおじさんとの交流はなかったのかな?
ボーリン「父や母の世代にはあったと思うけど、最近はあんまりないんじゃないかな」
―じゃあこの作品みたいな濃い人間関係は...。
ボーリン「あんまり話とかできなかったですね。僕の母の実家は台南なんですけど、すごく人間関係が濃かったみたい。今でも台南とかなら(人間関係が)あるんじゃないかな。(僕は家に)いつもいなかったから(笑)」
―故郷自慢をしてほしいんですが、台北自慢ってありますか?
ボーリン「台北自慢かぁ〜。台北101? 食べ物? ん〜、おいしいご飯も台南の方が...」
―わかった! イケメンが多いんじゃ?
ボーリン「女の子なら台中とか高雄とか...、台北にもかわいい子がいると思うんだけど、イケメンは多いかなあ?」

―この作品の中で、モウは好きな女の子をあきらめるわけだけど、あなた自身は何もしないであきらめられますか?
ボーリン「男ってカッコつけるところがあるから、そうするかも。その女の子が別の人が好きなんだからしょうがない。そうしないとカッコ悪いでしょ」
―俺の方に振り向かせてやるとか考えない?
ボーリン 「それは愛じゃないでしょ、無理やりなんだから。自然じゃないよ。勝ってもみじめだと思う。負けてもカッコいい方がいいでしょ。カッコよく負けたい。どんな手段を使ってもいいなんて、それは負けだよ」
―それはボーリンの美学なんですね。
ボーリン「そうあるべきだよ」
―本作は青春映画ど真ん中という感じの映画です。青春スターの地位確立って感じですよね。次に行きたいところは?
ボーリン「うん。でもいろんな映画に出てもいるんですよ。ただ昔より今の方が青春ものが似合うとかカッコいいとか言われるんで...。どうしたらいいのかな。前作『カンフーダンク!』ではキタナイって言われたけど」
―ヒゲ面でしたけど、あれはあれでカッコよかったですよ。
ボーリン「もうこうなったら女性をやるしかない。面白いでしょ? やってみたい。ゲイ役もやっちゃったしね」
―自分で脚本書いて持ち込んでみたら?
ボーリン「(ドロンジョ様を指して)こういうのとか(大爆笑)」
―ところで、あなたはアジア中を飛び回った上で、台湾映画界の現在をどう見ていますか?
ボーリン「台湾映画には観客が足りない。観客がもっと台湾映画を支持してくれれば、もっともっといい映画が出来てくると思うんです。もうひとつ、台湾映画はひとつのジャンルに偏りすぎてる、青春ものとか。もっといろんなジャンルの映画を撮れば、もっともっと可能性がでてくると思うんだけど。製作者もそういうのをつくる勇気がないし、出資者もそういうのに投資する勇気がないし、観客にも問題がありますよね」
―'09年に台湾では「海角七号」という台湾映画が大ヒットしたと聞いていますが。
ボーリン「そうそう。だからマーケットはあると思うんですよね。(「シャーロック・ホームズ」の記事を見て)僕はこういうのを撮りたい。(日本語で)タンテイ? 警察とか刑事ものとか。でもまだそこまで年齢が行っていないのかも」
―そう? 大丈夫大丈夫。ところで昨日の夜、来日してるジェイシー(・チャン)と飲みに行ったんですって?
ボーリン「ノーノー。夕べは忙しくて行かれなかったんだよ。明日(行く)。ジェイシーはね、兄弟みたいものなんだ」
1983年台湾、台北出身。'02年「藍色夏恋」でデビューし、一躍アジア映画界期待の若手として注目される。以後「五月の恋」('04)、香港映画「花都大戦 ツインズ・エフェクト?」('04)タイ映画「the EYE3」('05)などアジア中で活躍。日本でも「アバウト・ラブ/関於愛」('05)や「シュガー&スパイス 風味絶佳」「暗いところで待ち合わせ」(ともに'06)などに出演。
2月20日公開 ゴー・シネマ配給
台北で活動する大陸出身の歌手メイは新作発表を前に突然声が出なくなり、傷心のまま田舎町チントウに逃げてくる。チントウで町の人たちの便利屋をして暮らす青年、モウは彼女に出会い、世話を焼くうちに淡い恋心を抱く。メイは町のやさしさに見守られ少しずつ元気を取り戻していく。