いわれのない罪で"プリズナー"となってしまった青年の戦いを描く
玉山鉄二 スペシャル・インタビュー

言葉が通じず頼れる人も少ない異国の地で、身に覚えの無い罪により投獄されてしまったとしたら...。考えただけでもぞっとするシチュエーションだが、これは小説「P.I.P プリズナー・イン・プノンペン」で描かれている、実際に起こった出来事だ。 本著を原作としたドラマ「プリズナー」で、真実を訴え自由を勝ち取る主人公の青年を演じているのが、玉山鉄二。8月5日の本作DVD発売に先駆け、彼の本作に込めた意気込みや、撮影中のエピソードを聞いた。

「キャラクターの"気持ちのメロディライン"を表現したかった」

ー初めて台本を読んだ時の印象は?

玉山鉄二(以下玉山)「『プリズナー』のストーリーは実話が基になっているという事で、主人公の状況を自分に置き換えて台本を読み、とにかく恐怖を感じました。そしてどのような心境で演じればこの恐ろしさを伝えられるかな、と考えましたね。実話の持つ説得力や緊張感を損ねてしまわないように、リアリティがある演技をしようと心がけました」

ー主人公の伊沢圭吾はどんなキャラクターだと思いましたか。

玉山「圭吾は誰よりも正義感が強く、男らしい青年です。それでいて心の内には繊細さがある人物だと思います。演じるにあたり最も表現したかったことは、彼の成長や変化ですね。物語の序盤、彼は初めて訪れた国で事件に巻き込まれて収監されてしまい、目の前の事に対しての希望を失っていきます。ですがその後、獄中で周囲の人々の助けを得て、精神的にどんどん強くなる。そして終盤は、自分を陥れた人々への復讐を遂げるため、そして自分を助けてくれようとしている人を守るために立ち上がります。そんな、圭吾の"気持ちのメロディライン"というか、場面ごとの表情や心境の移り変わりを出せるように演じようと心がけ、目の表情や語気など、細かい部分も監督と相談しながら演じていきました」

「アクションのリアルさには、特にこだわりましたね」

ー架空の国家"セライビア"を舞台としていますが、ロケをタイで行ったそうですね。

玉山「現地のスタッフはみんな仕事が出来、情熱を持って仕事をしてくれる人々でしたので、日本で撮影するのとなんら変わりない感覚で撮影することができました。タイではキャストやスタッフの方々と食事を採ったり、空いている時間があれば昼間から酒を飲んだり、海に行ったりして。オフの日はいい息抜きが出来ましたし、暖かい気候にも助けられましたね。ただ、タイでの撮影を全て済ませてから、帰国して獄中のシーンを撮影する、というスケジュールだったので、タイにいるときに肌で感じる感覚を日本に持ち帰らなければと考えていました。日本国内の撮影でも、"セライビア"の湿気や熱さ、むさ苦しさをきちんと表現したかったんです」

ー気候の違う国内外での撮影、体調の管理も大変だったのでは?

玉山「出来る範囲で自分がやればやっただけ不安感はなくなるし、それが作品のためでもある。なにより自分のためでもあるので、苦労したとは感じていません。役者がそのようにアプローチするのはすごく大切な事です」

ー獄中の場面は特に印象的でした。

玉山「獄中では大森(南朋)さんとのやり取りがメインだったのですが、(大森演じる)ポンの裏切りが発覚し、敵対心むき出しのギスギスしたシーンが多く、外での撮影時に比べると現場での言葉数も減っていましたね。物語の中での2人の立場とそれを演じる2人の気持ちが連動して、自然にそうしていたんだと思います。牢獄での撮影時には"朝から翌朝まで"というスケジュールが続いて、スタッフもキャストも廃人みたいになっていました。撮影するシーンやセリフも多かったので正直いっぱいいっぱいでしたが、今思い返せば獄中の疲労感や緊張感とうまくリンクしていたのではないでしょうか」

ー痩せ衰えていく姿も真に迫っていました。

玉山「獄中で食事を満足に採れないという状況を表現しなければならないので、1週間くらいでしたが、極力身体を絞るように努めました。1週間で4〜5キロ痩せたんじゃないかな」

ーアクションシーンでのご苦労は?

玉山「獄中の乱闘シーンなど、アクションシーンは特にこだわりましたね。映画やドラマでは役者同士がお互いどのように動くかがわかっているので、アクションが予定調和に見えてしまうことがあります。その上、動きがトリッキーすぎて現実感が無かったりで、生っぽさがかけてしまったり。エンターテインメント的要素が強い作品は特にそうです。今回は"生っぽさ"を出したかったので、アクション監督とは入念に打ち合わせをし、役者の映りのよしあしよりも、現実感のある動きをさせてほしいとお願いしました。リアルなアクションを見せたかったのは、大森さんや他のキャストの方とも共有した気持ちだったと思います」

ー今回の『プリズナー』に出演するにあたり、参考にした作品はありますか。

玉山「『プリズナー』と同じように脱獄を扱った「パピヨン』(1973年)や「アルカトラズからの脱出」(1979年)のほか、『ディア・ハンター』(1978年)などの作品を参考にしました。 『ディア・ハンター』については、ひとつエピソードがあるんです。『プリズナー』の監獄のシーンで、他の囚人たちの信頼を得るためにロシアン・ルーレットに挑む場面があるんですが、台本を読んだ時点ではその場面が浮いているのではないかと感じていました。真実味のあるストーリーの中でそこだけ突出してドラマ的に見えて、違和感無くはまるのだろうかと現場に入っても不安だったんです。そのシーンを撮影する直前の空き時間、監督さんにロシアン・ルーレットの描写は『ディア・ハンター』のような世界観をうまく醸し出せればと聴いたので。すぐに作品を用意してもらい、現場で観てみました。作中でロバート・デ・ニーロが演じるロシアン・ルーレットのシーンを目にし、この雰囲気だったらプリズナーの世界観にもリアリティを損なう事なく自分なりに演じられるかもしれないと感じました。実際出来上がったこのシーンを観てもすごく良い場面だと思いますし、作品にもはまっているなと思いました」

ー最後にDVDでーた.comをご覧の方にメッセージを。

玉山「特典映像ではタイでのロケのオフの部分が収録されていて、撮影現場でどうやって物作りをしているかを知る事が出来ると思います。また、本編を繰り返し観ることで、台本が仕掛けているトラップや役者がお芝居の中で造っているトラップに気がつくと、初見とは違った捉え方が出来るんじゃあないでしょうか。放送時にご覧になった方でも楽しめると思うので、何回も繰り返し観て下さい」
プリズナーの予告編を配信中!

●取材・文/秋保広毅 ●カメラマン/金刺文三夫
●ヘアメイク/長谷川由加子 ●スタイリスト/野村昌司(STUTTGART)

プロフィール

玉山鉄二

1980年・京都府出身。雑誌モデルとして活躍し、1999年ドラマ「ナオミ」でデビュー。映画「逆境ナイン」(05)、「手紙」(06)、「フリージア」(07)、TVドラマ「ブラザー★ビート」、「牛に願いを Love & Farm」などで主演する若手俳優。最新出演作に映画「ハゲタカ」など

「プリズナー」DVDーBOX

8月5日発売(TCエンタテインメント 9450円)

WOWOWが制作・放映する「連続ドラマW」の第2弾。ある出来事をきっかけに教師の職を辞した井沢圭吾。彼は学生時代から兄と慕う譲原に逢うため、東南アジアの小国"セライビア"を訪れ、譲原の経営する孤児院を手伝うことに。そんな中、譲原はジョイという外国人に騙され、孤児院の維持に必要な財産を根こそぎ奪われてしまう。金を取り返そうとジョイに詰め寄る圭吾だったが、警察に裏金を渡した彼の策略にはまり、反対に自らが無実の罪で投獄されることになる。汚職にまみれた地元警察、それを訴える声に耳を貸そうとしない日本大使館の姿を目の当たりにし、獄中で消沈する圭吾。だが彼は、脱獄計画を持ちかける謎の男ポン、セライビアで取材活動をしているジャーナリストの西山らの助けを得て、自らの無実を証明すべく立ち上がって行く。主人公の井沢圭吾を玉山鉄二が、物語のキーマンとなる謎の男ポンを大森南朋が演じる。その他、鶴田真由、石黒賢、小日向文世、田中要次、中村俊介ら豪華俳優陣が脇を固める。監督は連続ドラマW第1弾「震度0」や「青い瞳とニュアージュ」を手がけた水谷俊之、脚本は映画「DEATH NOTE デスノート 前編」、「DEATH NOTE デスノート the Last name」の大石哲也。

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