シネマート六本木を舞台にこの夏行なわれる「台湾シネマ・コレクション2008」は、'06年~'08年製作の最新台湾映画を集めた映画祭。あまり知られることのなかった台湾映画の現在を紹介している映画祭だ。
上映される作品に、'07年に台湾で興行収入1位に輝いた『練習曲』がある。自転車で台湾を一周旅行する聴覚障害をもつ青年と台湾の人々とのふれあいを、美しい風景の中に描いた作品だ。本映画祭で来日した監督、主演の2人に話を聞いた。

―まず、現在の台湾映画をめぐる現状を監督にお伺いします。
チェン・ホァイエン 「台湾映画の製作本数がすごく少ないのは資金難だからです。どこも資金を出してくれないから、たいていが監督が自分で資金を集めるインディペンデント映画です。それに台湾では台湾映画に観客が来ない。たとえ海外の映画祭で受賞しても国内ではヒットしない。だから、本当に撮りたいという熱意がないとなかなか映画をつくれないのです。私自身も、スクリプターからカメラ、助監督までやっていましたから技術はありましたが、やはり資金難で、本作を監督できるまで10年くらいCM監督をしていましたね。」
イーストン・ドン 「監督から突然「映画に出ないか」と言われて、最初は冗談かと思いました。1週間考えさせてくださいと言って、その間に現場で働く監督を観察したんです。と同時に「映画に出ることは自分の人生にとってどういう意味がある?」とも考えました。」

―本作に出演したことで、今は売れっ子の俳優ですよね。絵本を出版したり、聴覚障害をもつ者として講演活動もしている。今後の方向はどう考えていますか?
イーストン・ドン 「僕は講演だけでなく、絵を描くことも俳優も同じように考えているんです。バランスをとりながら、アーティストとアクターの両方の部分をもっていたい。絵は気持ちが落ち着いていないと描けません。それと同じように演技も、気持ちが向いていないとできないんです。どういう気持ちをもってやるか、それが大事だと思います。」
―本作は、台湾の美しい所、美しくない所、人々の素朴さやおおらかさ、悩みなど「台湾の現在」がテーマですよね。
チェン・ホァイエン 「「台湾人自身が台湾を知る」というテーマの本作がヒットして、やっと、この映画が台湾人のためにつくられたことがわかってもらえた気がします。私は今後も、台湾のために映画をつくっていきたいですね。つねに台湾人の観客を意識して、彼らに勇気を与えるような映画を。」
'83年に映画界に入り、ホウ・シャオシェン監督チームの撮影担当として「悲情城市」('89)や「好男好女」('95)などを手掛け、'98年からテレビCMを100本あまり演出。本作が長編第1作
'78年台湾出身。美大卒業後、デザイナーとして働きつつモデル活動も開始。本作で俳優デビューし、'08年にはドラマ「ハチミツとクローバー」や映画「愛的発声練習」に出演