
完全2人芝居の「白夜」で主演した、EXILEのMAKIDAIこと眞木大輔とドラマ・CMで活躍中の吉瀬美智子の2人に話を聞いた。 寒いフランス・リヨンでのオールロケ撮影から恋愛観まで、たくさん語ってくれたぞ。

ー最初に脚本を読んだ時の感想を。
眞木「最初にもらった台本と映画になったのはちょっと違ってて、主人公である立夫がビデオカメラを回していたり、ルミエール兄弟ゆかりの場所を訪れていたりと、小林監督自身の経験したストーリーなんだろうなって思っていて。基本ホントに男女2人の話で、その上フランスだしリヨンだし、キレイな感じの夢物語なのかなと思っていたんですけど、読んで行くうちにもっとヒューマン・ドラマに思えて。フツーこんな照れくさいこと言わないでしょ、でもちょっと言ってみたいとか、こんな照れくさいことしないでしょ、でもちょっとやってみたいとか、そういう理想のラブ・ストーリーであり、でもその中に立夫と朋子が抱えている孤独や寂しさや悲しみが見え隠れする、夢物語と現実が行き来するような話だとわかってきた。映画になった時これ一体どうなるんだろうなあ、2人だけだしホントに逃げ場はないし、どういうふうに台本が進化してどういうふうな映画の形になるのかなあって思ったのが最初でしたね」
ー2人だけっていうのが、プレッシャーになりませんでしたか?
眞木「2人芝居は本当に初めてだったんで、ないといえばウソになりますけど。相手役でまた変わってくるところがあるし。でも自分の中では、これをやることでまた成長にもつながったらいいかなとやらせてもらいました、ハイ」
吉瀬「私も最初に台本をもらった時は普通のラブ・ストーリーなのかなと思いました。でも読んでいくとどんどん、わかんないことが多くなって。監督に話を聞いたらさらにどんどんどんどん深いところにたどり着いて、何これはっていうくらいズドンと来るものがありました。最初は自分にこの役をできるのかなっていう不安もあったのですが、監督と会ったときに後ろからポーンと背中を押していただいて『朋子になって来てくれればいいから』っていう一言だったんですけど、その一言で『よし、頑張ろう』って思えました。やっぱり最初は2人芝居っていうのがすごく怖くて。会話のキャッチボールしてるか、どっちかが圧倒的にずっとしゃべってるかじゃないですか。その上、深く掘り下げていけばいくほど役としても難しいと思った。みんな大なり小なりの悩みはあると思いますが、朋子は一言で言えば心の病を抱えていて、それをどう表現したらいいのかを自分の中で見出すまでが難しくて。感情の起伏や情緒不安定な感じをオーバーに表現しちゃいそうでしたが、そうじゃなくて、自分は普通だと思ってやってることがちょっとおかしかったり、ちょっとした行動が『ヘンだなこの子』って見える、その"ちょっと、ちょっと"を観客がつないで、感じ取ってもらえればいいんだとわかってからは、演じやすくなりました。現場に入ってからは、眞木さんがやりやすくしてくれたというのもあったんでわりとすんなりでしたね」

ー共演していく中で、お互いの印象は撮影が進むにつれて変わっていきましたか?
吉瀬「最初、監督から会っちゃいけないって、しゃべっちゃいけないって言われてたね」
眞木「そうですね。あえて一緒のホン読みもしないで、あの橋で『日本人?』っていう、あそこまではホントに会わないで欲しいって監督は思ってたみたいです。それは2人とも聞いていたんで、もちろん吉瀬さんの存在は知っていたんですけど、どういう人でっていうところはあえて考えないでいて、僕としては吉瀬さんというより朋子として会った。会ったら朋子だったっていうくらい、ホントにリヨンまで会ってなかったし。だから撮影が進むにつれて、吉瀬さんはより朋子度が増していったし、自分も立夫度が増していったっていう」
ー徐々に役に近づいていったっていうか。
眞木「監督もそういうのを狙っていて。だから『撮っていく中で3日したらもう台本通りになってるはずだから』と。あとはデートの歩くシーンでも、ここからここまで自由に歩いて自由に話してっていうふうに自由を与えてくれたんで、やっていく楽しさがあった。どうしゃべってもいいし、レストランに入って出てくるまでの間も、お互い『まあわかるよな?』みたいな。『もう大丈夫だよな?』みたいな(笑)」

吉瀬「でもまだ話しちゃいけない時に、ちょっと気が緩んで仲良く話しちゃって監督に怒られたね(笑)」
眞木「怒られた(笑)」
吉瀬「まだ早い!って。まだ仲良くなっちゃダメだったんだって」
眞木「緊張感がないって。2日目だっけ? 電話ボックスのシーンで。2人はまだそんなに仲良くなってないって」
吉瀬「怖かったよね、あれ」
眞木「まあ、いい緊張感の現場でしたねえ(笑)。寒い表現とかでもあんまり着るなとか。、自分のマネージャーさんとも距離を置く。ホントに孤独感を出したいっていう小林監督のこだわりで、いい緊張感がありました。そんな中で、助監督が人止めをミスしちゃって人が歩いちゃって、何じゃこれっていう時もあったんですけど(笑)。そういうのも含めてそれが監督のもの作りって言うか、ライブ感というかなあ。バンドがライブハウスでやってるような映画を作りたいってよく言われてたんで。それが『白夜』の世界観にもつながってるんじゃないかなと思います」
ー演じたキャラクターに共感できるところ、できないところはどこでしょう?
吉瀬「私自身と同じ30代の悩みとかの部分は共感できる。でも朋子を自分にリアルに置き換えたら、かわいそうだって。朋子のこの人生の選択はどうなんだろうって思って。幻想を見てああいう生き方になっちゃったけど、それは彼女にとって幸せだったかもしれない。でもリアルな吉瀬美智子としては、かわいそうだなって私は思ってしまったんですよ」
眞木「皆さんそうかもしれないですけど、人と出会って話していく中で、ああこの人俺に似てるとこがあるなあって、勝手かもしれないけど思うときがあって。立夫は寂しさや孤独をもっていて、朋子の中に自分に似ている所を見つけ出すことで自分を落ち着かせるというか、自分の孤独感を埋めていくということをしてたんだろうなと思うんです。自分は、人が周りにいるいないとか関係なく寂しくなったり孤独になったりするし、誰かのふとした言葉で、ああこの人似てるなあ、こんな人もいるんだなあ、頑張ろうとか、そういうふうに感じる時もある。そういう意味では立夫は自分に似てるなあとも思ったし。それに単純に、僕も男なんで、橋の上にこんなきれいな人がいたら歩いてても見ちゃうだろうし、また寂しさもあってね、海外で日本人に会えた喜びもあるから声をかけたのかなあって。どうやったら立夫になれるかなと思っていたんで、ちょっと早めに現場に入らせてもらって、一人で街中を歩いたりした。ホントに英語も通じない場所だったんです。買い物ひとつするのでも、ホントにレジの人も妥協しない、フランス語以外絶対話さないから」
吉瀬「ハハハハ(笑)」
眞木「このくらいの英語はわかるでしょって思いながらも、言葉の通じないもどかしさから来る孤独感っていうのもリアルに出てきたんで、そういう意味では早めに入れたから立夫に近づけたかなって思います」
吉瀬「私はMAKIDAIさんのちょっと後くらいに現場に入りました」
眞木「んとね、2日か3日後。たぶんそれぐらいだったと思います」
ーロケ中のエピソードはありますか?
吉瀬「うーん、みんなと距離を置いてくれという話だったんですが、私はホントに風邪を引いてしまったので、もう必然的に一人にならざるを得なかった、それも海外で。お湯は出なくなるし乾燥で喉が痛くなるし、どうしようって思いながら。そういう意味では病気したからホントに孤独でしたけどね」
眞木「ハハハハ(笑)。スタッフさんもカゼひいてて、ピリっとした感じでしたよね、そういう意味では」
吉瀬「でも役的にはピリっとしてたほうが良かったし、現場に入る時からなんかピリピリしてた感じが精神的にあったので、それとリンクさせてやりやすかったかな」

ー10時間の恋というのは、現実に素のお2人にとってはあり得ることですか?
吉瀬「そりゃ海外で、ステキな、MAKIDAIさんみたいな方に出会って、そしたらそしたら...」
眞木「言うなあ、言うなあ」
吉瀬「ホントにホントに。その上あの赤い橋の雰囲気だったら落ちますよね」
ー環境が手伝ってくれたらあり得る?
吉瀬「だって日本ではなかなかない環境ですよ」
眞木「そうですねー。大阪の戎橋とかああいう所では(笑)『日本人?』って聞いたって全員日本人だし」
全員爆笑
眞木「そりゃあね〜、って話ですもんね。シチュエーション込みがアリかと」
吉瀬「シチュエーション込みだったら。リヨンはホントにステキな場所だし、空気も違うし独特な映像美があるので、そういうところでだったらっていうのはありますよね」
眞木「ありますよありますよ。自分も海外に行ったときに、ニューヨークでタクシーから颯爽と女の人が降りてタバコを捨てて、パッとこっちを見てサッと行ってしまったんですけど、もうほんっとに、しばらく動けないくらい...。切ないじゃないですか、かなわない恋っていうか。バリバリ働いているようなスーツ着たキャリアの人で、その時自分はまだガキだったんで、捨てたタバコを見に行ったりして」
全員大爆笑
眞木「どんなの吸ってんだろなあって。そのくらいドキドキする出会いっていうのが、海外だとありますよね。映画の世界じゃないけど、レンタルビデオ屋とかで手が触れて、みたいな」
全員「ああああ〜〜〜(納得)」
眞木「ね? あったらいいなあっていうか。ステキな人だったら、1日で落ちる恋っていうのはあり得ますね、おそらく」

ー徐々に知り合って好きになっていく方がいいという方もいるから伺ったんです(笑)。
眞木「まあ、それは両方ありますね(笑)。徐々に好きになるパターンもあれば、1日の恋があってもいいと。ハイ。あると思います」
ーこの2人は自分を探す一人旅をしてるわけですけど、お2人は一人旅をしたことがありますか?
吉瀬「私はない。一人旅はないですね」
眞木「僕は20歳の時に学校を辞めてこれからどうしようかなあと色々考えた時に、一人でアメリカに、ニューヨークだったんですけど行きましたね、ハイ。20歳の時でした、タイムズスクエアでタバコを見つめてましたね(笑)。かなわぬ恋っていうのがわかるから、よけい切なくていいっていうか。恋をしに行ったわけじゃないんですけど。絶対何かつかんでやるぞって、自分を変えたかったんです」
1975年神奈川生まれ。ヴォーカル&ダンス・ユニットEXILEのパフォーマー。DJや音楽活動以外にも、TVバラエティやラジオのMCを務め、舞台「太陽に灼かれて」('07)や映画「渋谷区円山町」('07)「きみに届く声」('08)に主演、NHKのTVシリーズ「瞳」('08)に出演。他に映画「キラー・ヴァージンロード」が9月12日公開
'75年福岡生まれ。TV「噂の!東京マガジン」でアシスタントを務め、'07年TVシリーズ「ライアーゲーム」「働きマン」で注目を集めた。他にTV「のだめカンタービレ」「ブラッディ・マンディ」(ともに'08)「天地人」「BOSS」「妄想姉妹」(ともに'09)などに出演。CMも多数。最新作は映画「のだめカンタービレ 最終楽章」(前編12月19日公開予定)と「海の金魚」('10年春公開予定)
モバイルサイトhttp://flamme-co.mobi/
9月19日公開 ギャガ・コミュニケーションズ配給
事情を抱え人生のターニング・ポイントに立つ男女が、フランス・リヨンの赤い橋の上で偶然出会う。最初は険悪に始まり、しかし徐々に互いの心に踏み込んでいく2人。立夫はバックパッカー、朋子は恋人を追いかけてきたOL。1日が経つ間に、2人は急速に惹かれあい、予想もしない恋に落ちる。そして、1日の終わりに2人が選んだ道とは。