
一度見たら忘れられない顔。「薔薇の名前」等でそんな印象を残したロン・パールマンの一世一代のハマリ役がヘルボーイ。監督のギレルモ・デル・トロ は、ハリウッドでは限りなく無名に近かった彼をヒーローにすえるため、あらゆる手を尽くしたというが、それも納得のそっくり度。運命のキャラクターを2度演じるチャンスを手にしてゴキゲンのパールマンに、映画とキャラクター、そしてデル・トロの魅力を尋ねてみた。

ーヘルボーイのどういうところが好き?
ロン・パールマン(以下ロン) 「すべてだね。彼のハート、彼の友達、彼の生きている理由...... もちろん、リズのためだ。彼の運命論、彼のユーモア、彼の恐れを知らない性格、彼の猫好きなところ、彼のシガー好きもいい......あ、これはギレルモのオリジナルのアイデアで、オレを落ち着かせるためのもんだと思う......そう、すべて大好きだね」
ーデル・トロ監督は、彼の男らしさは普遍的なものと言ってますが、あなたはどう思う?
ロン 「ああ、オレもそう思うよ。もし、理想の男性像を尋ねられれば「ヘルボーイ」と答えるだろうし、演じたいコミック・キャラやヒーローを尋ねられれば「ヘルボーイ」と言う。オレも彼のようになりたいね」
ーヘルボーイを演じるのは肉体的に大変だったのでは?
ロン 「ああ、ものすごく大変だった。メイクをつけたり外したりするだけで3時間から6時間かかるから、1日17、18時間働いていたことになる。しかも撮影は半年に及び、休みは一週間に1日だけ。バッテリーをチャージするだけで大変だった。でも、いいんだ。ヘルボーイを演じられるんだから」
ーあなたはいつも特殊メイク系の役柄が多いですが、役者として不満はないの?

ロン 「あるはずないだろ。オレがイヤなのはひとつだけ。電話がない(仕事がない)ってことだけだ。『ヘルボーイ』に巡り合う前は1本映画に出演して3年間、リムジン・カーのドライバー。また1本出演して3年間ドライバーを繰り返していた。が、今は違う。ギレルモのおかげでオレの人生は変わったよ」
ー仕事がないときはオーディションとか?
ロン 「いや、幸運なことにオレには家族がいて子供がいるから、子育てに励んでいたんだ。毎日いっしょに公園に行く。いっしょにダンス教室に行く。あ、子供といっしょにチュチュを着て踊ったこともあるな(笑)。いや、本当に。とりわけあのころは、父親であること、夫であることに一生懸命だったんだ」
ーあなたの救世主デル・トロとは「クロノス」のときからのつきあいですが、彼の魅力は何だと思いますか?

ロン 「オレはギレルモほどクレバーで物知りで勤勉で情熱的なヤツを知らないよ。それに彼はフィルムメーカーになるために生まれてきたような男だ。つまりそれは最高ってことさ。ギレルモはオレをヘルボーイにすることに必死で、『ブレイド2』にオレを出したのもその一環だった。オレの顔をみんなに広めるためだったんだよ。『ブレイド2』は大ヒットし、ハリウッドのプロデューサーたちはこぞってギレルモと組みたがった。そのなかにレボリューション・スタジオのジョー・ロスがいて『キミと仕事をしたいが、何をやりたい?』と言ってきた。で、ギレルモが『ヘルボーイ』と言うと彼は『それは知っている。私も大ファンだよ。で、誰を主演に?』ってことになった。ギレルモがオレの名を出すと彼は予算を尋ね、ギレルモが『9000万ドル』と言うと『ロン・パールマンにその金額は出せないが、コレ(5000万ドル)だったら』と言ってくれたんだ。そう、奇跡が起きたわけさ。本当によかったよ。ヘタしたらヴィン・ディーゼルがやっていたかもしれないんだからな(笑)」
ーヘルボーイの生みの親、マイク・ミニョーラとはどんな打ち合わせを?
ロン 「ヘルボーイがどうやってマイクのなかから生まれてきたのか? そのときマイクは何を考えていたのか? ヘルボーイはマイク自身の価値観の要約なのか......すべてを知りたかった。でも、あえてマイクに聞く必要はなかった。なぜなら、そのすべてがギレルモの脚本にあったからさ」
ーデル・トロの次回作は『ホビットの冒険』ですが、あなたも関係するの?
ロン 「したいと思っているよ。ギレルモがニュージーランドに4年間も行くことになると聞いて『お前がいなくて寂しいよ』と言うと『いや、そんなことにはならないだろう』と答えたんだ。これって期待していいことじゃないかって思っているんだけどな(笑)」
ー「ヘルボーイ3」は?
ロン 「それももちろん。オレたちはヤル気だよ!」
1950年、米ニューヨーク生まれ。ミネソタ大学で美術の博士号を取得。舞台俳優を経て'81年、「人類創世」で映画デビュー。主な作品に「薔薇の名前」('86)、「ロスト・チルドレン」('95)、エイリアン4」('97)など。デル・トロ監督作への出演は「クロノス」('92)、「ブレイド2」('02)、「ヘルボーイ」('04)以来4作目。
2009年1月9日公開 東宝東和配給
超常現象捜査防衛局の一員として活躍するヘルボーイの前に、魔界の王子ヌアダが現われる。
ヌアダは人類から地上界を奪うため、伝説の最強軍団「ゴールデン・アーミー」の復活を目論んでいた。きもかわいいクリーチャーが大挙登場する、ギレルモならではのファンタジー・アクション。