設楽統のこの映画にしたら? Vol.40「エクス・マキナ」
2016年11月1日

ex_01

人間と女性型ロボットの心理戦を描いた「エクス・マキナ」。
いつか起こりうる設定にコワさを感じた!

――人間と女性型ロボットの心理戦を描いた本作。「her/世界でひとつの彼女」の時もそうでしたが、“人工知能”というワードに惹かれます?

そうなんです。僕、サイボーグとかアンドロイド、AI=人工知能が好きで。なんでだろうと考えたら、僕と同世代の人はみんなそうだと思うけど「サイボーグ009」や「銀河鉄道999」みたいなSFアニメで育ってきたから。そのベースがある上で観た本作は、近未来なのにどこか懐かしい感じ。しかも「マトリックス」みたいな現実世界からぶっ飛んだ話じゃなくて、生活に近いというか地に足がついているというか。「her/世界でひとつの彼女」同様、人工知能の悲哀が描かれているのがすばらしかったですね。非常に好きな作品です!

――SFとはいえ、派手なCG演出がないのも斬新ですよね。

主な登場人物は4人しかいない密室劇で、物語の舞台はほぼ社長の別荘だけなのに、全編にわたって何だか不穏な空気が流れているから、目が離せなくて。「ターミネーター」が機械VS人間の闘いを描いた戦争だとしたら、「エクス・マキナ」はその序章。まず、エヴァが人々の検索履歴から出来上がったAIだという設定が、僕たちの現実と地続きになっていてコワい。だって今すでに自分の検索履歴がどこかに流れていて、僕にピッタリのAIが作られていてもおかしくないってことですし……。観ている側が「こういう時代がきたら?」と想像して、自分なりに解釈することで、物語にどんどん奥行きが生まれていくんです。あとは、別荘が静かな山奥に建っているんですが、ああいう感じ、すごく憧れます。部屋の内装もすごくクールでね。ストーリーの随所に飽きさせない仕掛けがしてあるので、最後まで楽しめました。

ex_02

――AI、エヴァを演じるのは、「リリーのすべて」でアカデミー賞を受賞したアリシア・ヴィキャンデル。また、本作は第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞しました。

ロボットのディテールはよくできていると思いましたが、何より惹き込まれたのは、アリシア扮するエヴァの“目”。ただ黙っていても、目ですべてを物語る感じ。深みがあるなぁと思いながら見ていました。

――コンピュータが人間の知性を超えると言われる「2045年問題」。どう考えていますか?

2045年っていうと……70歳か。どうなんでしょう? コンピュータに手玉に取られてしまうのかなぁ。今もすでにパソコンを使いこなせず、すでに機械に負けている僕だけど(笑)。でも今、「自動駐車」とか「自動ブレーキ」とかあるでしょう? 便利な反面、僕からすれば、車を停めるぐらい自分でできなきゃカッコ悪いと思ってしまう。男の子が世話好きの彼女に靴下履かせてもらうみたいな感じ(笑)。どんなにテクノロジーが発達しても、人間、考えなくなったら終わり。SNSが生活に浸透している現代だけど、便利な反面、やっていることは日々の日記を載せたりと、すごくアナログですよね。「わざわざSNSで発表しなくてもいいんじゃない?」と思ってしまうんですよね。使う人のセンスというか、どう使いこなすかにかかっているんじゃないかな。

――ロボットが発達し始めると、そのうち人間の仕事がなくなってしまうのでは?といった懸念もささやかれています。

でも結局、細かい部分は自分たちでやらなきゃダメだし、僕の中での“人間上位説”は変わらない。この映画を観ていて、人間だってやっぱりスゴいなと実感したし、優れているからこそ、より自分たちに近いものを作ろうとするんだなと思いました。できることなら、僕も社長みたいに技術を駆使して自分の理想のAIを追い求めたいですもん。

ex_03

――設楽さんがAIを作るとしたらどんなものを作りますか?

「her/世界でひとつの彼女」に続き、今回またしてもエヴァみたいな恋人が欲しいと思ってしまった。エヴァはメチャクチャかわいいですしね。あとは僕のために「そろそろ美容院、予約しますか?」「病院の予約をしておきましょうか?」とかケアをしてくれれば最高。僕らが考えたコントのネタも「書き留めておきましょうか?」とかね。あ、それは今すでにスタッフにやってもらってるか(笑)。とにかく知性よりも、ビジュアル最優先!

――ケイレブがエヴァに惹かれていく過程にも共感できますか?

すごく分かりますよ。彼は最初「AIは人間のイヤな部分がなくて純粋」という先入観でエヴァを見ているけど、彼女が泥くさくなってきて、最後はそこに振り回される。哀しいですよね。社長も家に引きこもって究極のAIを作ろうとしますが、どんなに美しく優秀なAIに囲まれてもどこか満たされずに酒浸り。…待てよ。これ、モテない男の映画じゃないですか(笑)。そして一方のエヴァは男たちを尻目に外に出て行こうとする。単なるSFにとどまらない、男女の価値観の違いも描いた深い作品。エヴァの心理状態についても、受け止め方は人それぞれだと思います。クライマックスも実に意味深でね。自分はどう解釈したのか、秋の夜長にみんなで語り合いながら観てほしいです。

■今月の一本

「エクス・マキナ」
第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞したSFスリラー。世界最大のIT企業のプログラマー、ケイレブは、社長の別荘に1週間滞在するチャンスを得る。別荘で待っていたのは、女性型ロボットのエヴァ。彼は社長に依頼され、エヴァに搭載される人工知能の実験に協力することになる。エヴァ役は「リリーのすべて」のアリシア・ヴィキャンデル。

監督・脚本/アレックス・ガーランド
製作/アンドリュー・マクドナルド アロン・ライヒ
出演/ロブ・ハーディ ドーナル・グリーソン アリシア・ヴィキャンデル オスカー・アイザック

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とバナナマン結成。「ノンストップ!」(フジテレビ系)で司会を務めるほか、「バナナマンのせっかくグルメ!」(TBS系)、「バナナ♪ゼロミュージック」(NHK総合)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)などレギュラー多数。

■バナナマンinformation
「そんなバカなマン」(フジテレビ系)が10月から日曜深夜1:00枠にお引越し。またバナナマンの2人が主役犬の声を担当し今夏大ヒットした「ペット」のBD&DVDが12月21日リリース「ミニオンズ」(’15)のユニバーサル・スタジオとイルミネーション・エンターテインメントの最新作「ペット」が大ヒット公開中。設楽と日村が、それぞれ外見もそっくりな主役犬マックス&デュークの声を担当している。短編「ミニオン:アルバイト大作戦」同時上映。

Film (C) 2014 Universal City Studios Productions LLLP. All Rights Reserved. Artwork (C) 2016 Universal Studios. All Rights Reserved.

撮影/杉 映貴子