設楽統のこの映画にしたら? Vol.39「デッドプール」
2016年10月3日

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デッドプールはまさに“ヒーローズ・ヒーロー”!
玄人ウケするヒーロー・アクションだ

――アメコミヒーロー映画はいつもチェックしている設楽さんですが、今回はかなり“異色”のヒーローですよね。

はい。でもね、観る前はもっとパンクな映画を想像していたんです。アメリカ人しか分からないようなブラックなジョークについていけるかな?とか。でもフタを開けたら、アクションはPV的なスピード感があってカッコいいし、主人公は葛藤しているし、ちゃんとヒーロー映画のセオリーに沿ってるんですよ。恋人に会いたくても顔が醜くなっちゃったから会えない、みたいなウブな純愛にもグッときます。

――主人公のデッドプールにはどんな印象をもたれましたか?

いい加減で正義感ゼロ、世界平和じゃなく自分のために闘う極度の自己チュー。デッドプールは好きだけど、“中の人=ウェイド”はホントにダメ男でどうも好きになれなかった(笑)。スーパーヒーローでもダークヒーローでもない、人間くさいヒーローなんです。そしてここ最近「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」や「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」みたいなヒーロー総出演で見せ場だらけの映画が続きましたが、デッドプールは少数精鋭(笑)。

――テイストが軽めなのもポイントですね。

そうですね。オープニングでは、監督に「ギャラの高い能無し」、主演には「神が作った完璧なるバカ」とクレジットがついていたりととにかくフザけてる! スーツも、最初は「キック・アス」みたいに手作り感満載。最終的に出来上がったスーツが異様にクオリティ高くて「ウソだろ!?」とは思いましたけど。それと、デッドプールが観客に向かって話しかける描写。これ、“第四の壁を越える”って言うみたいですね。昔観た「青春デンデケデケデケ」(’92)にも似たようなシーンがあって衝撃でしたが、デッドプールはカメラにまで触っちゃう。「映画の表現は自由でいいんだ!」と感動すら覚えました。

――一方で、過激な描写もありますが、娘さんと一緒に観られますか?

どうかなぁ? そこまで気にならなかったですけどね。8月のバナナマンの単独ライブを子どもも観に来ていて、一番笑ったところを聞いたら「僕にひたすら蹴られている日村さん」だったらしく、僕に似てSっ気が出てきたかも(笑)。「デッドプール」ももしかしたら受け入れられたりして……いや、それはヤバい!

――主演と製作はライアン・レイノルズ。過去にいろんなヒーロー映画に出ていますが、どれも興行的にはパッとしませんでした。

なるほど〜。だからこそ、映画のセオリーを壊したり、他の映画や実在の俳優をいじってみたり、自虐に走ったりと“ヤケクソ感”たっぷりで、それが映画全体の痛快さにつながっているんでしょうね。で、結果的に大ヒットしちゃうんだからスゴいよなぁ。

――自身のキャリアすらネタにするセリフもありました。

「スーツは緑にするなよ! アニメーションもダメだからな!」ですよね。“緑のスーツ”っていうのは、レイノルズの出演作で、興行的には失敗した「グリーン・ランタン」のコスチュームのこと。自分のキャリアの失敗を自虐ネタとしてもってくるところが最高だし、同じエンターテイナーとして「観客を楽しませよう!」という
レイノルズの心意気を感じます。カッコいい!

――「転んでもただでは起きない」とはまさにこのことですね。

好き勝手にやってやる!という“究極の自主映画”。変化球で当ててやろうみたいな意気込みを感じます。でも僕の印象としては、変化球だと思ったら、意外に速いストレートがきたなという感じの映画でした。

――ヒーロー映画が大好きな設楽さんから観て、本作はどんな位置づけにある作品ですか?

ストーリーから小ネタに至るまで玄人好みのヒーロー映画。スパイダーマンやスーパーマンを演じてきた“同業者”たちが「好き勝手に暴れていてうらやましい!」と思ってしまいそうなほど突き抜けたおもしろさがありました。例えるならミュージシャンズ・ミュージシャンならぬヒーローズ・ヒーロー。ヒーロー映画の初心者には絶対オススメしませんが(笑)!

■今月の一本

「デッドプール」
お下劣なセリフやギャグ満載でR指定ながらも、大ヒットした異色のヒーロー映画。末期がんを宣告された元傭兵ウェイドは、謎の組織から「がんを治せる」と誘われる。組織による壮絶な人体実験で、驚異的な治癒能力と不死身の体を得るものの、容貌が醜くなってしまったウェイドは、マスクを被りデッドプールとして組織への復讐を誓う。

監督/ティム・ミラー
製作・出演/ライアン・レイノルズ
出演/モリーナ・バッカリン エド・スクレイン T・J・ミラー ジーナ・カラーノ ブリアナ・ヒルデブランド

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とバナナマン結成。「ノンストップ!」(フジテレビ系)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)などレギュラー多数。10月から「バナナマンのせっかくグルメ!」(TBS系)は日曜夜6時30分に、「そんなバカなマン」(フジテレビ系)は日曜深夜1時にお引越し!

■バナナマンinformation
バナナマンの2人が主役犬マックス&デュークの声を務めた「ペット」が大ヒット公開中!! 米国ではオリジナル・アニメーション映画史上最高の公開初日興収を達成し続編製作が決定した。設楽さんも「休日に大スクリーンで観てきた!」のだそうです

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撮影/杉 映貴子