設楽統のこの映画にしたら? Vol.34 「ブリッジ・オブ・スパイ」
2016年4月27日

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“やるべきこと”を貫くドノヴァンに「サムライ」を見た!!

――今月はトム・ハンクス主演の「ブリッジ・オブ・スパイ」。

観たい観たいとは思いつつ、目移りしてつい後回しにしてしまっていました(笑)。でもね観たら、やっぱりおもしろい。トム・ハンクスにスピルバーグにコーエン兄弟。この組み合わせでおもしろくならないわけがない! 

――映画をご覧になっていかがでしたか。

戦争モノだからシリアスに始まるのかなと思いきや、ひとりの老紳士が実はソ連のスパイで……というド頭の描写からスピード感アリで、王道エンターテインメントになっているんです。見終わった後は爽快感すら感じたし、「どんな映画?」って聞かれたらちゃんと説明できる単純明快なおもしろさがある。衝撃的な戦闘場面とかはそこまでではないけれど、全体的に鉛色の映像が底知れぬ怖さを漂わせていて、違う側面から戦争を描いた作品だなと。

――時代の空気感も丁寧に描写されていました。

弁護士事務所やスパイの部屋、車窓からの風景。ドノヴァンが東ドイツに入ったときの、奥がコワ〜い感じの部屋のつくり方も見事でね。ベルリンの壁も重厚で、(セットに)お金がかかってるんだろうなぁと思いながら観てました。

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――本作は、米ソ冷戦時代に起きた実話がベースになっています。

驚いたのが、冷戦期に実戦争へと突入するか否かのカギを握っていたのが、フツーの弁護士だったということ。ホントにそんなことあったの!?っていう。でもドノヴァンはいくら敵国の人間でも弁護される権利はあると主張するんです。彼は、ただ弁護士として正しいことをしようとしてるだけで。

その過程で、ドノヴァンとアベルが絆を深めていく流れが良かった。互いに何かを貫く中で見えてくる「こいつ、いいとこあるじゃん!」と距離が縮まる感じ? 人間には規律やモラルも大事だけど、感情も大事だっていうことに改めて気づかされました。

――自分の信念を貫くドノヴァンについて、同じ男性としてどう感じましたか。

ドノヴァンはたった一人でソ連との交渉に赴くんですよね。しかも家族に何も言わずに。よく考えたらあり得ないでしょ。でも、その“沈黙の美学”が日本人的だと思いました。アメリカの映画って家族を大事にするものが多いじゃないですか。でも時代的に感情の昂ぶりが強いなかで、周囲に流されることなく、先を見て冷静に行動できるところはサムライっぽい! その他のキャラクターも“貫いている人たち”ばかりで、登場人物全員に感情移入できる。彼らを主人公にし、別の視点から描いた映画も成立するような感じがしました。

――アベルはドノヴァンを「不屈の男」と呼びますけど、設楽さんにとっての〝不屈の男〟は?

理想の“不屈の男”は…齢を重ねると共に変わってきたように思います。より渋さを求めるようになりました。小さい頃から戦隊モノのブルーが好きだったんですよ。レッドじゃなくて(笑)。ドノヴァンみたいに与えられた仕事のなかできっちりと成果を出す。当たり前のことを当たり前にやる。そんな境地に行きたいなと思いましたね、僕も。

――では最後に、この作品をどなたに観ていただきたいですか。

全国の新入社員ですね。僕がドノヴァンを見て「自分はまだ大した人間じゃない」と思ったように、仕事で打ちひしがれることもあるかもしれない。でもやるべきことを貫く姿をドノヴァンから見習ってほしいですね。

■今月の一本

「ブリッジ・オブ・スパイ」
スティーヴン・スピルバーグ監督による実話に基づいたサスペンス。米ソ冷戦下のアメリカ。弁護士ドノヴァンは、敵国のスパイ、アベルの弁護を依頼される。周囲から非難されながらも職務を遂行し、アベルの死刑を回避したドノヴァン。5年後、今度はソ連で米国人パイロットが捕らわれ、CIAはアベルとの交換を画策する。今作でアベル役のマーク・ライランスが第88回アカデミー助演男優賞を受賞。

監督・製作/スティーヴン・スピルバーグ
脚本/マット・チャーマン イーサン・コーエン ジョエル・コーエン
出演/トム・ハンクス マーク・ライランス エイミー・ライアン オースティン・ストウェル

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とバナナマン結成。「ノンストップ!」で司会を務めるほか、「そんなバカなマン」(共にフジテレビ系)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)、「クレイジージャーニー」(TBS系)、「YOUは何しに日本へ?」(テレビ東京系)などに出演

■バナナマン information
4月から新番組が続々スタート。音楽トーク&バラエティ「バナナ♪ゼロミュージック」(毎週土夜10:20~NHK総合)、バナナマンと小泉孝太郎が芸能人の同居生活を見守る「モシモノふたり~タレントが“おためし同居生活”してみました~」(毎週水夜10:00~フジテレビ系)。そして設楽統単独で「珍種目No.1は誰だ!?ピラミッド・ダービー」(毎週日夜7:56~TBS系)と大活躍!

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撮影/杉 映貴子