設楽統のこの映画にしたら? Vol.33「バクマン。」
2016年3月29日

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漫画と映画とコント。モノづくりの現場を映した本作にシンパシーを抱く

――今月は設楽さんとも親交のある大根仁監督の「バクマン。」を選んでいただきました。

監督の大根さんとはお仕事をご一緒していたし、「モテキ」や「恋の渦」もおもしろかったので、楽しみな一本でした。率直な感想としては、大根さん、またまた独自の道を突き進んでますね!! まず、原作へのリスペクトをベースにしつつ、自分の色を載せるさじ加減が絶妙なんですよ。作画中、ペンのシャッシャッという音がしだいにメロディになって、プロジェクションマッピングになるシーンとかね。漫画愛が詰まったエンドロールも遊び心たっぷりでした。

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――主人公は「週刊少年ジャンプ」の連載を目指す高校生コンビですが、設楽さんはジャンプを読んでいましたか?

学校に行けば誰かが持ってきていたから、読んでましたよ。今回、ジャンプが全面協力しているだけあって「キン肉マン」「北斗の拳」といった人気漫画が出てきて自分の人生ともリンクしてくるんだけど、不思議とノスタルジックにならないのは、大根さんの真骨頂でもある〝ポップさ〟があるから。ジャンプのテーマ「友情、努力、勝利」を真正面から描いたら、たぶんダサくなっちゃうと思うんですよ。でも大根さんは、自分の大好きな音楽や映像、漫画を盛り込みながら、あえて〝斜に構えた目線〟で描いている。それが映画全体のスタイリッシュさにつながっているんじゃないかな。

――漫画家の机の周りとか、細部のこだわりにも引き込まれます。

そうですね。大根さん、昔から小道具にはメチャクチャこだわっていましたから。「バクマン。」も、部屋に置いてあるアイテムとか徹夜明けの編集部の暗い雰囲気とか、漫画家の“リアル”な日常が描かれていました。

――最高と秋人はいかがでしたか。

佐藤健くん、神木くんは「るろうに剣心」の2人ですよね。特に神木くんは「桐島、部活やめるってよ」しかり、こういったオタク役がうまいなぁと。ちなみに「桐島〜」の映画部顧問役、岩井秀人さんが、「バクマン。」でも担任役を演じていて「おっ!」と思いました。

――紅一点のヒロイン役は、小松菜奈さんです。

小松さんがもう、とにかくカワイイ! 最高とシースルーのカーテン越しに会話するシーンはグッときましたねぇ。「モテキ」でも思いましたが、童貞が好きになる女の子を描かせたら、大根さんの右に出る人はいません(笑)!

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――染谷将太さん演じる最強のライバル、新妻エイジも存在感がありました。設楽さんには過去、エイジのような“ライバル”っていましたか?

よくインタビューでも聞かれるんですよね。そのたびに同期のおぎやはぎやアンジャッシュの名前を挙げることもあるんですが、ぶっちゃけ、ライバル的な存在の人っていなかったんですよ。小さなライブで「今日はあいつらには勝ちたい!」と思うことはあっても。むしろ自分より上の世代の人たちに対して「早く追いつきたい!」っていう“憧れ”の気持ちの方が強かったですね。

――モノづくりという意味では、最高と秋人の奮闘劇は、お笑いにも置き換えられます。

「天才じゃない俺たちは邪道で勝負するしかない!」みたいなセリフはグッときましたね。僕は、自分たちの単独ライブのつくり方を思い出しながら観ていました。最高と秋人にとっての漫画が、僕らで言うネタ。こだわりたいけど期日までに終わらせないといけない焦りとか、ひたすら眠いとか。こういうモノづくりの映画って、作り手側に自問自答させますよね。大根さんも撮りながら、自分の映画のつくり方について考えたんじゃないかな、なんて。 

――最後に、この映画をどなたに観ていただきたいですか?

映画を観ていて思ったのは、技術が進歩するなか、大事なのはローテクだってこと。ローテクと言えば、漫画家の蛭子能収さん。蛭子さんの漫画もポップでオシャレですし(笑)。


■今月の一本
「バクマン。」
累計発行部数1500万部超を記録した人気コミックを、佐藤健&神木隆之介主演で映画化。同級生の秋人と共に、漫画家を目指す高校生、最高、秋人が原作、最高が作画を担当した漫画は「週刊少年ジャンプ」の編集者・服部に見いだされ、2人は夢へと一歩踏み出す。だが彼らの前に天才高校生漫画家の新妻エイジが立ちはだかる。

監督・脚本/大根仁
企画・プロデュース/川村元気
原作/大場つぐみ 小畑健
出演/佐藤健 神木隆之介 染谷将太 小松菜奈 桐谷健太 新井浩文 皆川猿時 宮藤官九郎 山田孝之 リリー・フランキー

■プロフィール
1973年、埼玉県生まれ。’93年に日村勇紀とバナナマン結成。「ノンストップ!」で司会を務めるほか、「そんなバカなマン」(共にフジテレビ系)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)、「クレイジージャーニー」(TBS系)、「YOUは何しに日本へ?」(テレビ東京系)などに出演

■バナナマン information
2人が吹替えを担当する映画「ペット」が8月11日公開。マンハッタンに住む主役犬マックスを設楽が、ご主人のケイティ(声:佐藤栞里)が家に連れて来たずんぐりむっくりの犬デュークを日村が担当する。2月25日に行われた吹替えキャスト発表では、バナナマン2人の幼い頃のペットとの思いで&写真が公開され、少年期の痩せている日村の写真に記者席がどよめいた(笑)

(c)2015映画「バクマン。」製作委員会 (c)大場つぐみ・小畑健/集英社
撮影/杉 映貴子